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[P59-03] フィーダーフリー条件下で培養した疾患iPS細胞を用いた心筋細胞分化の検討
キーワード:iPS、心筋細胞、疾患
【背景】我々は、先天性心疾患、心筋症、不整脈をはじめとした多様な小児期発症心疾患患者およびその家族から血液を採取し、不死化B細胞からなる4300株の細胞株を凍結保存後、疾患原因遺伝子ならびにその変異を同定してきた。心疾患の病態解析や治療薬スクリーニングのために、これら細胞株をiPS細胞経由で心筋細胞に誘導分化させ、疾患モデルを作成することが望まれる。しかし、個々の患者のiPS細胞から疾患モデルを安定して作成することはいまだ困難である。従来、iPS細胞の継代培養にはマウス由来のフィーダー細胞と共培養する方法を用いてきた。しかし培養液にはできるだけ異種成分の混入を減らすことが望ましい。最近、高い細胞増殖率をもつフィーダーフリー(FF)培地を用いてFF継代培養することが可能になった。【目的】FF培養したiPS細胞から心筋細胞の分化誘導法を確立し、その機能を検出すること。【方法】単細胞に解離したiPS細胞をStemFit AK02N 培地を用いてFF培養した。iPS細胞のコロニーの形状を観察し、アルカリフォスファターゼ活性染色や多分化能マーカー(Oct4, TRA-1-60, SSEA4, nanog)の発現を免疫染色により検討した。BMP4/Activin Aなどを用いて心筋細胞へ分化誘導した。【結果・考察】StemFit を用いたFF培養のiPS細胞は、1週間でおよそ100倍に増えた。細胞はアルカリフォスファターゼ活性を示し、多分化能マーカーを発現していた。iPS細胞を単細胞とし、StemPro34培地で一夜浮遊培養すると細胞塊を形成し、心筋細胞分化誘導開始後7-10日で拍動する心筋細胞を得た。得られた拍動細胞には、安定した周期的なCa2+トランジエントが観察された。MED64システムにより細胞膜電位の薬剤への反応を健常と疾患由来の誘導心筋細胞を用いて観察できた。