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[P60-03] ファロー四徴症における右室流出路前面の形態について -右室造影側面像からの検討‐
Keywords:ファロー四徴症、右室流出路前面形態、右室造影側面像
【はじめに】ファロー四徴症(TOF)では、漏斗部中隔が前方に偏って形成されることにより、右室流出路(RVOT)と主肺動脈(mPA)が低形成となることはよく知られているが、この後方から前方への漏斗部中隔の偏位がRVOT~mPA前面の形態に与える影響についてはほとんど記載がない。右室流出路形成はTOFの根治術において重要な要素であり、RVOT~mPA前面の形態を正確に理解することは、より質の高い手術につながると考えた。【目的】TOFにおけるRVOT~mPA前面の形態学的特徴について明らかにする。【対象】当院で心臓カテーテル検査を行ったTOFのうち、房室中隔欠損、肺動脈閉鎖、肺動脈弁欠損症例を除外した乳幼児51例について後方視的に検討し、同検査を行った肺高血圧のない孤立性心室中隔欠損(VSD)の乳幼児34例を比較対象とした。【方法】全例、外科的治療介入前の心臓カテーテル検査を用いた。拡張末期の右室造影側面像において、RVOT~mPA前面上にある3つの定点A:右室心尖部、O:RVOT最突出部、P:mPA左右分岐部を決定し、AOPの形成する三角形の三辺の長さAP・AO・OPと、O角:AOとOPの成す角度を計測した。【結果】年齢・身長・体重は、TOFは13.1ヵ月・71.1cm・8.3kg、VSDは19.4ヵ月・77.3cm・9.7kgで、年齢体格に差はなかった。TOFではVSDと比較してAP(TOF61.0mm、VSD70.5mm)とAO(TOF44.8mm、VSD54.9mm)が短く、OP(TOF27.2mm、VSD28.1mm)には差がなかった。AP長を基準(AP/AP=1.0)に三角形としての形態を比較すると、TOFではVSDと比較してAO/AP(TOF0.74、VSD0.78)が短くOP/AP(TOF0.45、VSD0.40)が長かったがその違いはごく軽微で、O角(TOF113.4°、VSD111.9°)には差がなく、TOFの三角形AOPはVSDよりやや小さい相似形であった。【まとめ】TOFにおける漏斗部中隔の前方偏位はRVOT~mPA前面の形態にほとんど影響を与えておらず、TOFに特徴的な右室流出路前面の形態はないことが分かった。