The 52st Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスターセッション

心血管発生・基礎研究2

ポスターセッション(P60)
心血管発生・基礎研究2

Wed. Jul 6, 2016 6:00 PM - 7:00 PM ポスター会場 (天空 ノース)

座長:
加藤 太一(名古屋大学医学部附属病院 小児科)

P60-01~P60-06

6:00 PM - 7:00 PM

[P60-05] B型ナトリウム利尿ペプチド受容体(NPR-B)機能獲得変異体による心不全予防効果の検討

馬殿 洋樹, 桂木 慎一, 那波 伸敏, 石田 秀和, 成田 淳, 高橋 邦彦, 小垣 滋豊, 大薗 恵一 (大阪大学大学院医学系研究科 小児科学教室)

Keywords:B型ナトリウム利尿ペプチド、cyclic GMP、AAV-9

【背景】B型ナトリウム利尿ペプチド受容体(NPR-B)の特異な機能獲得変異体NPR-B (2647G→A; Val 883 Met) を用いることにより、in vitroにおいて、リガンドであるC型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)非依存性に、心筋細胞肥大を抑制することを、本学術集会において報告してきた。【目的】今回、in vivoにおいても、特異的機能獲得変異体NPR-Bによる心不全進展抑制効果が得られるかを検討した。【方法】C57/B6Jマウスに、皮下埋込み型浸透圧ポンプを用いてIsoproterenol 30mg/kg/dayを1週間持続注入することで左心不全モデルマウスを作製した。9型アデノ随伴ウイルス(AAV-9)ベクターを用いて、機能獲得変異型NPR-B(MT)、野生型NPR-B(WT)およびGFPを、それぞれ心筋に特異的に発現させることで、MT-NPR-Bによる心不全進展抑制効果について検討した。効果は、心エコーによる心機能、免疫組織染色による心筋肥大・線維化、組織におけるcyclic GMP濃度で検討した。【結果】MT-NPR-Bを発現させたマウスでは、心機能低下の抑制効果が示された(FS(%); GFP 26.0±6.4, WT 25.8±2.9, MT 34.4±2.7)。細胞内cGMP濃度は、MT-NPR-Bを発現させた心筋において有意に上昇していた(cGMP濃度(pmol/ml); GFP 1.2±0.8, WT 12.5±3.9, MT 611±71)。また、心筋細胞の肥大抑制も認めた(心筋面積(μm2); GFP 96±19, WT 91±16, MT 67±11)【結論】in vivoにおいても機能獲得変異型NPR-Bは、細胞内cGMP濃度の上昇を介し心不全進展抑制効果を示すことが示され、心不全の遺伝子治療の可能性が示唆された。今後、進行した心不全に対する治療効果についても検討する予定である。