The 52st Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

ポスターセッション

心血管発生・基礎研究2

ポスターセッション(P60)
心血管発生・基礎研究2

Wed. Jul 6, 2016 6:00 PM - 7:00 PM ポスター会場 (天空 ノース)

座長:
加藤 太一(名古屋大学医学部附属病院 小児科)

P60-01~P60-06

6:00 PM - 7:00 PM

[P60-06] Pulmonary hypertension due to left heart diseaseの機序解明を目的としたモデル動物作成の試み

藤本 義隆1,2, 浦島 崇1, 伊藤 怜司1, 河内 貞貴3, 梶村 いちげ2, 赤池 徹2, 小川 潔3, 南沢 享2 (1.東京慈恵会医科大学 小児科学講座, 2.東京慈恵会医科大学 細胞生理学講座, 3.埼玉県立小児医療センター 循環器科)

Keywords:肺高血圧、モデルラット、左心疾患

【背景】肺高血圧症において、左心疾患(left heart disease: LHD)に伴う肺高血圧症(PH-LHD)は、頻度の高い症候群である。しかし、その病態や治療法は不明点が多い。例えば、肺動脈性肺高血圧症(PAH)に対して用いるPAH特異的治療薬は、PH-LHDに対して有効という報告もあるが、逆に肺高血圧を増悪させるとの報告もみられる。不明点が多い原因として、PH-LHDの動物モデルがないことが挙げられる。【目的】PH-LHDの機序解明のために、PH-LHDモデルラット作成を試みた。【方法】生後5週のSDラット(150~200g)を2群(左房狭窄群(n=5)、Sham群(n=5))に分けた。左房狭窄群は、人工呼吸器管理下に左側開胸し、左心耳にナイロン糸を一針かけた。ナイロン糸を牽引し心臓を引き上げ、ホライズンクリップを用いて左房を心外より挟み込み、僧房弁狭窄に類似した左心系狭窄病変を作成した。Sham群は偽手術を行い閉胸した。手術3日後、4週後に心エコー検査を施行し、左房狭窄の程度と肺高血圧の程度を観察した。【結果】術後3日の心エコー検査では、左房狭窄群の左室流入血流速度(V max)は平均1.74 m/s (PG 12.1mmHg)と加速が認められた。術後4週では、左房狭窄群はSham群に比較し、有意に左室流入血流速度が増強していた(1.50±0.11 m/s、0.86±0.06、P<0.05)。また、左房狭窄群はSham群に比較し、左房拡大傾向を認めた(0.23±0.02、0.19±0.02 cm 2)が、明らかな肺高血圧所見は得られなかった。【考察】本実験での左房狭窄では程度が軽く、術後4週では肺高血圧には至らなかった。PH-LHDモデルラットを確立するためには左房狭窄を強めるか、術後長期の観察が必要と考えられた。