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[P61-02] 急性期治療後にFDP, FDP-D-dimer高値が遷延し非典型的経過を辿った川崎病の2例
Keywords:川崎病、心嚢液、胸水
【背景】川崎病急性期においては全身血管炎によるFDPおよびFDP-D-dimerの高値を認めることがあるが急性期以降においてもこれらが遷延することがある。今回、急性期治療後にFDP D-dimer高値が遷延し、ドレナージ治療を要する体液貯留(胸水貯留および心嚢液貯留)を認めた川崎病の2症例を経験したので報告する。【症例1】1歳3ヶ月男児。4病日に大量ガンマグロブリン療法+アスピリン内服を行い翌日には解熱した。7病日にFDP D-dimerの上昇(18.1μg/ml)と血小板低下(7.5×109/L)を認め、呼吸不全を伴う胸水貯留が出現したため9病日に胸腔穿刺を行った。11病日には血小板低下と凝固機能異常も改善し胸水も減少したため胸腔ドレーンを抜去し、15病日に退院した。穿刺した胸水は滲出性胸水であった。急性期以後、冠動脈病変は認めていない。【症例2】8ヶ月女児。4病日に大量ガンマグロブリン療法+アスピリン内服を行い翌日には解熱したが、急性期症状消失後もFDP D-dimer高値が遷延した。21病日に退院したが、外来フォロー中もFDP D-dimer高値が持続し43病日の心臓超音波検査で大量の心嚢液貯留を認めたため46病日に心嚢穿刺を施行した。心嚢液は滲出性であり、その後の再貯留は認めず、51病日に退院した。急性期以後、冠動脈病変は認めていない。【考察】川崎病急性期においては全身血管炎とそれに伴う血管内皮障害によりFDPおよびFDP D-dimerが上昇することがあり、冠動脈病変を生じるリスクファクターであることが報告されている。今回、FDP D-dimer高値が遷延した2症例では冠動脈病変は認めず他の急性期症状も消失していたが、胸水・心嚢液共に滲出性であり川崎病に起因する血管炎が遷延したことが体液貯留の原因であると考えられた。【結語】初回治療に反応が良好な症例においても、FDPおよびFDP D-dimer高値が持続する場合には血管炎および内皮障害が遷延している可能性があり、慎重な経過観察を要すると考えられる。