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[P61-03] 退院後、亜急性期に心嚢液貯留を来たした川崎病の一例
Keywords:川崎病、心嚢液貯留、自己免疫
種々の心疾患において、急性期以降の経過中に非特異的な心嚢液貯留が生じる病態が知られている。川崎病で亜急性期に心嚢液貯留を来たした報告は少なく、その発生機序についてはまだ知られていない。 症例は1歳女児。川崎病症状6項目中6項目を満たし第5病日に入院。免疫グロブリン大量投与とアスピリン内服で治療開始。速やかに解熱、冠動脈病変と心嚢液貯留は認めず第14病日に退院した。第25病日の心エコーで左室後壁側に6.3 mmの心嚢液を認め再入院した。血行動態は保たれており、拡張障害は無かった。第27病日に心嚢液が7-8.5 mmに増加したため利尿剤の内服を開始した。心嚢液は徐々に減少したが、第29病日以降3-5mmより減少しなかった。発熱等の川崎病症状は認めなかったことから、川崎病による心嚢液貯留より川崎病後の慢性心膜炎を疑い、デキサメサゾンの内服を開始した。速やかに心嚢液は消失し、第35病日にデキサメサゾン内服を終了した。現在治療後8ヶ月が経過しているが心嚢液の再貯留なく経過している。 急性期の炎症や治療の過程において血中へ流出した心膜、心筋組織に対する自己免疫反応の結果、心嚢液貯留を来たすPost Cardiac Injury Syndromeと言う病態が知られている。本症例でも、川崎病による炎症で同様の機序で心嚢液貯留を来たしたと考えられる。