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[P68-05] シャント術後の小児における有効開存期間の検討
Keywords:シャント、遠隔期、有効開存期間
【目的】チアノーゼ性心疾患において体重増加を得るためのシャント術の役割は重要である。シャント術は在院死亡が5%とされ急性期リスクの高い手術であるが、退院後も高度なチアノーゼが出現し緊急手術が行われることも少なくない。シャント術に続くより安全な治療計画を立てるため、シャント術の有効開存期間を検討した。【方法】2009年1月から2015年12月までにシャント術を施行されたチアノーゼ性先天性心疾患のうち退院した56例を対象とし、シャント術が行われてから次段階の手術が行われるまでを観察期間として解析を行った。介入を要する高度なチアノーゼ(SpO2<70%)をきたした場合をeventと定義し、event freeの有効開存期間をLogrank検定および多変量Cox回帰分析を行った。【結果】男児30例、女児26例で肺動脈閉鎖や肺動脈狭窄などのためシャント術を施行されている。シャント術を実施された日齢の中央値は32、体重の中央値は3.2kg、観察期間の中央値は220日であった。施行されたシャント径は3.0mm(6例)、3.5mm(47例)、4.0mm(14例)、5.0mm(1例)であった。単変量解析ではシャント径3.0mm(P<0.001)、肺動脈閉鎖(P<0.001)、central shunt(P=0.038)の症例は有意差を持って有効開存期間が短く、多変量解析においてシャント径3.0mmおよび順行性血流がないことは独立した危険因子であった。また、8割以上の症例が有効な開存を示す期間を血行動態やシャント径に分けて算出した所、肺動脈閉鎖に対して3.5mmシャントを使用した場合で160日間、肺動脈閉鎖に対して4.0mmシャントを使用した場合で154日間、肺動脈狭窄の症例では338日間であった。【結語】シャント径や血行動態などに応じた症例ごとの有効開存期間が示された。これらの期間をもとに、次段階の治療や治療前の検査計画が望まれる。