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[P72-07] 単心室,共通房室弁閉鎖不全に対する弁形成術例の術式選択と成績の検討
Keywords:共通房室弁、単心室、弁形成
【目的】小児でも房室弁形成術の成績は向上してきたが,とくにSV性疾患に伴うCAVV形態を有する例での成績はいまだ改善の余地がある.当院で経験した同疾患につき術式と成績について検討.【方法】経時的UCG結果が入手可能な2011年以後の弁形成術を行ったSV,CAVVの連続18例を対象.うち12例はheterotaxy(無脾10,多脾2),他にPA 8例,PS 4例,TAPVC 2例,PAPVC,MAPCA,IAA,CoAを各1例に合併.【結果】房室弁への手術介入は18例にのべ27回施行.初回弁手術介入は生後12.4±14.0ヵ月(21日~4歳)に,6例で再手術介入を15.8±8.4ヵ月(4ヵ月~2歳)に,4例ではさらに再々手術介入(生後4ヵ月~3歳)を要した.術式は弁輪形成20回(DeVega 15, Kay 4,他1),弁尖形成12回(弁尖縫合6,二弁口化5,心膜パッチ補填1),弁置換3回.弁形成の前後で逆流は2.0±0.5から1.0±0.4度に改善したが,経時的に再び悪化する傾向がみられた.弁輪形成と弁尖形成別では,術前後の改善はそれぞれ1.9±0.6から1.0±0.3へ,2.0±0.4から1.1±0.5度へと同等だったが,術後500日では弁輪形成群で2.8±0.8,弁尖形成群で1.2±0.5度と有意に弁輪群で悪化が強かった.全体の成績はTCPC到達8例,TCPC待機6例(2例はFontan 適応境界例),BDG待機1例,BDG後Fontan 適応外1例,BDG前死亡2例(1例は術後入院死亡,1例は外来経過観察中感染症)だった.【考察と結語】本疾患群ではもともと弁尖に余裕がなくcoaptation zoneが浅い例が多い.またしばしば再手術例で癒着があり,共通房室弁輪で弁輪が大きく少しのゆがみで逆流が生じやすく逆流テスト自体の難易度が高い.弁輪縫縮や弁尖縫合術も有効だが,とくに弁輪縫縮は経時的に再悪化の傾向があり可能な限り二弁口化などの術式が望ましい.そのためには術中にまず,逆流テストで評価可能な視野を構築するようにすることが重要である.