The 52st Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスターセッション

右心バイパス

ポスターセッション-外科治療07(P76)
右心バイパス

Wed. Jul 6, 2016 6:00 PM - 7:00 PM ポスター会場 (天空 ノース)

座長:
盤井 成光(大阪府立母子保健総合医療センター 心臓血管外科)

P76-01~P76-04

6:00 PM - 7:00 PM

[P76-03] 主要体肺側副動脈を伴う単心室系疾患の治療方針 ~Fontan型修復適応の妥当性~

金 成海1, 赤木 健太郎1, 田邊 雄大1, 小野 頼母1, 石垣 瑞彦2, 濱本 奈央1, 佐藤 慶介2, 芳本 潤1, 満下 紀恵1, 新居 正基1, 小野 安生1 (1.静岡県立こども病院 循環器科, 2.循環器集中治療科)

Keywords:major aortopulmonary collateral arteries、single ventricle、Fontan

【背景】中心肺動脈低形成ないし無形成の主要体肺側副動脈 (MAPCA) 症例において,統合化手術を中心とする修復治療は一般に困難とされる.特にFontan型修復の対象となる症例では,肺血管病変残存のリスクが高いことから,手術適応そのものが問題となる.【目的および方法】段階的修復術施行例の経過を不施行例と対比して後方視的に検討すること.【対象】開院以来(1981年10月~2014年4月)当院に入院した連続14例を対象とした.そのうち,右側心房相同を12例(86%)心外型肺静脈還流異常の合併を4例,共通肺静脈腔閉鎖を1例に認めた.【結果】3例には手術が行われず,共通肺静脈腔閉鎖の1例は早期死亡,その他2例はそれぞれ25年・30年間生存中であり,末梢酸素飽和度80%台で,喀血や上室性頻拍発作を反復している.11例にはFontan型段階的修復を目的とし,2006年以降は初期手術として,正中一期的MAPCA統合化+BTシャントが選択された.その後6例(55%)にカテーテル治療(肺動脈形成術またはコイル塞栓術)を追加,6例に肺血管拡張剤内服を併用している.11例中1例が術後早期死亡,2例が遠隔期に突然死した(上室性頻拍発作,気管切開後の窒息によると推定).生存8例中2例が開窓のないFontan型修復,4例が開窓Fontan型修復に到達し,2例がGlenn待機中である.Fontan到達例のフォローアップ期間は4.7-30.5 (平均13.6年),術後1年以降最近の心カテ時の指標は,中心静脈圧10-15 (平均11.8) mmHg,心係数2.2-4.3 (平均3.2) l/分/m2,動脈酸素飽和度 84.8-97.8 (平均92.1) %であった.現在までのところ,蛋白漏出性胃腸症や肝硬変といった主要な合併症は認めていない.【考察】MAPCA合併症例に対する段階的Fontan型修復は必ずしも容易な治療方針とはならず慎重なフォローを要する.一方,近年の外科的内科的治療手技の向上や肺血管拡張療法の導入などにより,自然予後を上回る可能性が示唆された.