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[P78-03] 心房中隔一次孔欠損を伴わない完全房室中隔欠損症3例の治療経験
キーワード:完全型房室中隔欠損症、心房中隔一次孔欠損、外科治療
【はじめに】完全型房室中隔欠損症(cAVSD)は通常大きな心房中隔一次孔欠損ASD(I)と心室中隔欠損(VSD)を伴っているが、まれにASD(I)のないcAVSDが存在する。今回我々はASD(I)のないcAVSDを3例経験したので報告する。【症例1】2か月、3.8 kg、染色体異常なし。VSD(PM-inlet), PLSVC, ASD(II), Mr : mild (cleft)の術前診断にて手術を行った。三尖弁中隔尖には2 mmほどの裂隙があり、前方の中隔尖は僧房弁と連続しているようであった。ASDを拡大し左房内を観ると、左右の房室弁は連続しており共通房室弁の形態であった。ASD(I)を伴わないcAVSDと診断し、VSDはパッチ閉鎖、ASDは直接閉鎖し手術を終了した。【症例2】9歳、22.4 kg、21 trisomy合併。2ヶ月時にVSD(PM-inlet), Mr : mild (cleft)の診断で手術となったが、中隔尖と僧房弁が連続し分離不可能と判断しASD拡大術、肺動脈絞扼術が施行されていた。その後1心室修復も考慮し抗肺高血圧療法中であった。症例1の経験から精査を行ったところ、ASD(I)を伴わないcAVSDとなった。手術所見は症例1と同様であった。【症例3】3歳、12.6 kg、21 trisomy合併。3ヶ月時にVSD(PM-inlet), Mr : mild (cleft), straddling of TVの診断にて肺動脈絞扼術が施行された。Starddlingのため根治が困難と判断され外来フォローされていた。しかしながら症例2と同様、精査の結果ASD(I)を伴わないcAVSDの診断となり手術となった。手術所見は症例1と同様であった。3例とも術後経過は良好であり、外来フォロー中である。【まとめ】ASD(I)のないcAVSDを3例経験し良好な治療経過を得た。僧房弁にcleftを認めた場合にはASD(I)がなくてもcAVSDの可能性があり、この疾患を念頭に置いた検査、治療が重要であると思われた。