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[P78-04] 成人期に修復術・再(々)手術を行った房室中隔欠損症の7例
キーワード:成人先天性心疾患、房室中隔欠損、再手術
【はじめに】成人期に初回手術となったり、小児期修復術後に再手術となる先天性心疾患は比較的限定される。房室中隔欠損(AVSD)は非チアノーゼ性疾患でありながら、再手術となる例も増えている。特異な房室弁形態や刺激伝導系の局在、小児期修復術の影響から成人期手術に際して問題を有する例に遭遇する機会も多い。【対象】成人期に心内修復や再手術となった成人AVSD7例を経験した。対象は完全型3(多脾症候群合併1)、中間型1、部分型3で修復術後難治性IE1例を含んだ。手術時年齢は19~68歳、男女比2/5であった。小児期左側房室弁置換術1、若年期左側房室弁再形成および心房細動に対するmaze手術1が含まれ、房室ブロック1、maze術後の洞機能不全・心房静止1、多脾症候群例では洞機能不全(+/-心房細動)であった。19歳女性例(機械弁による左側房室弁置換術後・人工弁機能不全例)では妊娠・出産の希望があった。【手術】初回心内修復(多脾症候群1)3、再手術・再々手術4(遺残短絡閉鎖1、房室弁修復単独1、房室弁置換2(再置換1、左右両側房室弁置換1))を行った。多脾症候群例では左右両側房室弁形成に際し人工弁輪による弁輪補強を左右両側に併用した。不整脈への対応を4例(PM治療3、心房内焼灼治療*2)に要した。19歳女性での再弁置換例では狭小な弁輪・左室流出路狭窄回避目的にMcGrath-Kirklin法での生体弁置換を行った。【結果】全例耐術し、NYHA機能分類I度で経過している。新たな房室ブロック発生はなく、現在PM調律3(SSS2、AVB1)の他は洞調律を維持している。左室流出路狭窄および遺残短絡を1例に認めるが経過観察可能範囲に留まっている。形成した房室弁機能は良好に推移している。【考察とまとめ】AVSDの特異な形態は通常の僧帽弁疾患と異なり、種々の適切な外科的対応を要し、注意を要するが、成人期AVSDへの手術介入は概ね良好な結果を得ている。