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[P80-04] 右心バイパス手術を目指したダウン症候群合併例に対する治療戦略
Keywords:strategy、TCPC、21-trisomy
【背景】右心バイパス手術(total cavopulmonary connection: TCPC)の治療成績は向上し手術適応も拡大しているが、ダウン症候群(Down syndrome:DS)に対するTCPCの治療成績に関してまとまった報告は少なく症例報告が散見される程度である。【目的】当院におけるDS合併例のTCPC手術成績を明確にし手術適応及び治療戦略を考案すること。【方法】TCPCに到達したDS合併7症例を対象に診断、検査成績、APCAコイル塞栓の有無、手術介入時期・手術内容、術後合併症の有無、入院日数、転帰について後方視的に比較検討した。【結果】診断は、unbalanced AVSD 5例、cAVSD + largeVSD 1例、DORV(non committed VSD) 1例。PHを認めた 5例は全例肺動脈絞扼術(PAB)を施行し、PSを合併した2例は一期的TCPCを施行した。PAB、BDG、TCPC施行時期は、それぞれ中央値18日(15日-8ヵ月)、1歳2ヵ月(11ヵ月-2歳)、3歳1ヵ月(1歳10ヵ月-4歳)。TCPC前後のPA圧(mean)は、pre=13(8-16)mmHg、post=12(10-18)mmHg。APCAコイル塞栓は術前2例に施行、TCPC術後合併症として乳靡胸水を7例中6例に認めた。生存例は6例、うち1例は術後難治性乳靡胸水、肺動脈内血栓形成のためBDG へtake downした。死亡した1例は乳靡胸水のコントロール不能で感染を併発し失った。術後入院日数は中央値38日(20-93日)であった。【考察】PAB介入時期が遅く乳靡胸水に感染を併発した1例を失ったものの、当院においてTCPCへ到達したDS合併例は初回PABの介入時期が早い傾向にあった。BDG take down症例はTCPC前後のPA圧(mean) pre/post=16/18mmHgと高値であり、TCPC indicationのborder lineであった。術後乳靡胸水に難渋する症例を多く経験した。以上よりDSを合併したTCPCの治療戦略として以下が重要と考えられた。1)生後早期より肺高血圧を回避する、2)術後良好なTCPC循環を維持するため導管にfenestrationを作成する、3)術後乳靡胸水に対し積極的な治療を行い症状の改善に努める。