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[P80-05] 成人期にPrimary Fontan型手術を行った1例
Keywords:Fontan手術、成人先天性心疾患、Apicocaval juxtaposition
【はじめに】Fontan型手術は術式と手術戦略改善により成績は安定化し、適応条件は2歳前後まで低年齢化した。一方成人期以降どこまで拡大可能か不明で、適応基準もない。小児期に種々の事情からFontan未施行の単心室症例は少数ながら存在する。成人期のFontan型手術例を経験した。【症例】48歳男性。小児期に右室性単心室との診断を受けたが手術適応なしと判断され、その後は近医通院。二年前から労作時息切れと上室性不整脈が出現し、当科紹介となった。来院時SpO2 81%,NYHA 3,AST 47,ALT 45U/L,TB 3.4mg/dl,BNP 547.7pg/ml. エコー上は(I,D,X),DORV,SRV,Valvular and Subpulmonary PS,Apicocaval juxtaposition,Moderate CAVVR. カテ上、SVC(5),RV 100/5,PA 25/5(14),LA(5),AAo 100/68mmHg,LVEF=32.2%,RVEF=48.8%,LVEDV=23.4%,RVEDV=211.4% of N,PG(RVout-mPA)=70mmHg,Rp=1.9であった。まずβ遮断薬、ACEI導入し心不全、不整脈を管理した。【手術】成人期の経年的な心機能低下を考慮し、早期にFontan循環に到達することが望ましいと考え、Primary Fontan手術を行った。PA plastyおよびTCPC手術を施行。18mm ePTFE ConduitはIVCと同側心房内をrouting。4mmのfenestrationを作成した。水試験にて房室弁逆流は中央からごく軽度、前負荷軽減効果を期待し、房室弁操作は行わなかった。【術後経過】術翌日に抜管、4日ICU退室。15日胸ドレーン抜去。32日退院。SpO2は93%に上昇。BNPは15.2pg/mlに正常化。不整脈は消失。房室弁逆流も消失した。術後三ヶ月で職場に復帰した。【まとめ】Fontan手術適応拡大がなされる以前の症例にはFontan candidateからdrop out しているケースがあり、これらの症例では再評価を行うことでFontan手術が可能な症例がある。小児の基準を基に、複数の逸脱がない限り成人期のFontan型手術は可能と考えるが、成人期特有の問題として、低心機能、房室弁逆流、不整脈の評価と対策が必要となる。