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[YB01-01] 先天性心疾患手術後急性期の肺高血圧に対する肺動脈圧モニタリングとPDE5阻害薬治療
Keywords:肺高血圧治療、PDE5阻害薬、先天性心疾患
背景・目的:先天性心疾患修復術後では肺高血圧の遷延が急性期ばかりでなく、遠隔期予後にも悪影響を及ぼす。その治療には急性期からの積極的な介入が必要と考える。当施設では肺動脈圧モニタリングカテーテル挿入による客観的指標からの治療対象抽出とPDE5阻害薬治療の導入、および遠隔期観察を展開している。その臨床像を調査した。方法:術中体外循環離脱直後に4Frの硬膜外麻酔用カテーテルを経右心室流出路的に肺動脈内に挿入固定し、刺入部を自己心膜片で被覆(U字マットレス縫合)した。本法を連続70例に施行。手術時年齢4ヶ月(生後1日~24ヶ月)、体重4.67kg(2.3~9.6kg)、術前診断:VSD:35、AVSD:14、TAPVD:9、ASD:5、TGA:4、DORV:2、PDA:1、21trisomyは28例、全例術前に高度PHを合併。ICU入室直後より連続モニター監視を行い、肺高血圧例にはsildenafil 0.5mg/kg/回を注腸投与し、以後肺動脈圧の推移に合わせて4時間毎に増量した(最大2.0mg/kg/回)。全例ICU退室前にカテーテルを抜去した。結果:等圧発作2例、一酸化窒素吸入4例、sildenafil投与34例(48.6%)。全例経過良好でICUを退室。カテーテル抜去に伴う出血イベントは無かった。投与期間は、退院まで:13例、術後3-6ヶ月:5例、術後1年:2例、術後1年以上:15例。経過中3例はendothelin拮抗薬に変更した。考察・結語:肺動脈圧モニタリングカテーテル挿入により、肺動脈圧監視からの肺血管拡張薬導入の適応判断と有効性の評価が可能となり、PDE5阻害薬による積極的肺高血圧治療でNO使用はこの6年間では皆無となった。本モニタリングにより適切な術後肺高血圧遺残の治療展開が見込める。