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[YB01-06] 乳児先天性心疾患術後における急性腎障害(Acute Kidney Injury)のリスク因子の検討
Keywords:急性腎障害、先天性心疾患、周術期管理
【背景】小児先天性心疾患術後の急性腎障害(Acute Kidney Injury:AKI)は、周術期の低血圧、腎還流血の低下、レニン・アンギオテンシン系の賦活化やADHの上昇、虚血再灌流、サイトカインに伴う腎尿細管障害、虚血性障害が原因とされている。【目的】乳児先天性心疾患術後症例におけるAKI発症のリスク因子を検討する。【方法】月齢1か月から1歳までの先天性心疾患術後の乳児患者103例を対象とした。理学所見、遺伝性疾患の有無、術前のACE阻害薬の使用、手術時年齢、人工心肺時間、大動脈遮断時間、術後の循環作動薬の使用状況を評価した。AKIの重症度分類はpRIFLE分類を用いて後方視的に検討した。【結果】76例(73.8%)がAKIと診断され、pRIFLE分類Injury群34例、Risk群42例であった。術後急性腎不全で透析を要した症例は3例(2.9%)で、全例チアノーゼ性心疾患であり、pRIFLE Injury群であった。多変量解析で大動脈遮断時間(Odds 1.021, P=0.005)、月齢が低いこと(Odds 0.040, P=0.002)、チアノーゼ性心疾患(Odds 3.079, P=0.032)がAKI発症のリスク因子であった。またAKI症例において、大動脈遮断時間が重症度に寄与する独立したリスク因子であった(P=0.021)。術前のACE阻害薬の使用の有無、術後のカテコラミン、PDE3阻害薬、血管拡張薬の使用とAKIの発症、重症度に関連性はなかった。【考案・結語】乳児の先天性心疾患術後のAKI発症率は既存の報告より高く、大動脈遮断時間、低年齢、チアノーゼ性心疾患がリスク因子であった。周術期管理で術前にリスク因子を有する患者では、透析など早期治療介入を念頭に置きつつ、術後の血管内水分量の維持、腎還流圧の維持に努めることが必要であると考えられた。