第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

要望演題

川崎病

要望演題4(YB04)
川崎病

2016年7月7日(木) 09:00 〜 10:20 第B会場 (天空 センター)

座長:
鈴木 啓之(和歌山県立医科大学 小児科)
深澤 隆治(日本医科大学付属病院 小児科)

YB04-01~YB04-08

09:00 〜 10:20

[YB04-04] 川崎病既往成人におけるOptical coherence tomography上のruptured plaque, erosionと関連病変:"冠後遺症は成人期急性冠症候群のリスクか"のproof-of-concept研究

大橋 啓之1, 三谷 義英1, 寺島 充康2, 澤井 俊樹3, 澤田 博文1, 早川 豪俊1, 佐久 間肇4, 北川 覚也4, 伊藤 正明5, 平山 雅浩1 (1.三重大学大学院 小児科学, 2.豊橋ハートセンター 循環器内科, 3.永井病院 循環器内科, 4.三重大学大学院 放射線医学)

キーワード:川崎病、OCT、動脈硬化

【背景】成人期動脈硬化における急性冠症候群(ACS)は,プラーク破綻と糜爛(erosion)を基盤として発症するとされるが,川崎病(KD)既往成人例におけるACS発症に関連する病変は不明である.最近,Optical coherence tomography(OCT)は成人期動脈硬化病変の評価に有用とされる.【仮説】KD既往成人の冠動脈後遺症(CAL)は,OCT上のACS基質を伴う.【方法】対象期間は2012年9月から2015年6月.対象は発症後6か月以内に冠動脈造影(CAG)にて評価され,KD急性期に6mm以上の冠動脈拡大をきたし,罹患後15年以上経過した症例.CALの診断は,急性期の心エコー,発症後6か月以内とOCT時のCAGから行い,発症時から正常をnormal segment(NS),退縮瘤(RAN),遺残動脈瘤(PAN),局所性狭窄(LS)とした.OCTによる評価は以下のように行った.Fibroatheroma(FA): 境界不明瞭で内部不均一な低輝度領域.Superficial Signal-Rich Regions with Attenuation (SSR): 背景の信号減衰を伴う高輝度領域. Microvessels(MC): 複数フレームで観察されるプラーク内に観察される低信号の微小管腔構造.Fibrocalcific plaque(FC):内部不均一であるが境界明瞭な領域を伴った線維性領域.Thombi(T): 血管内腔に突出する塊. Ruptured plaque(RP): 内膜の裂け目や途絶,fibrous cap の解離.【結果】症例は11例(男/女=6/5).年齢は中央値25.3歳(ICR: 22.7-30.3) .KD後観察期間中央値22.6 年 (ICR: 19.9-25.8; range 15.5-32.1). NS8区域,CAL 43区域(RAN19区域,PAN16区域,LS8区域)をOCTで評価した.CAL43区域ではOCT上FCP(n=20),FA(16),SSR(13),MC(18),T(13),RP(4)を認めたが(重複所見あり),大半のNS(7/8区域)ではそれらの病変を伴わなかった.T区域にはMC,全周性石灰化が関連し,RP区域にはFA,FCP,MCが関連していた.【結語】KD既往成人の冠後遺症は,ACS発症に関連し得るOCT上の基質を伴い,ACS発症に関与する可能性が示唆された.