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[YB04-08] 川崎病急性期における血管内皮細胞由来の血管微小粒子(EMPs)の役割
キーワード:川崎病冠動脈瘤、endothelial microparticles、microRNA
【背景】川崎病の病態は全身性血管炎症候群であり、特に冠動脈の血管内皮障害をきたし冠動脈瘤を形成し、時として心筋梗塞や冠動脈瘤破裂などで死亡に至る場合もある。我々は、川崎病の病態が全身の血管炎であることから、血管内皮細胞障害で遊離される血管微小粒子(Endothelial microparticles(以下EMPs))に着目し、川崎病急性期におけるEMPsの役割について検討を行った。【方法】川崎病50例(うち冠動脈病変(CAL)4例)、対照群50例を検討対象とした。川崎病患者のIVIG治療前、治療後、回復期の3期の血清を用いてフローサイトメトリ及びRNAを抽出しAffymetrix GeneChip miRNA 4.0によるマイクロアレー、さらにTHP-1細胞でmicroRNAトランスフェクション実験を施行した。【結果】川崎病急性期におけるEMPsの割合は1.27±0.16%であり、有熱者(0.09±0.03%)に対して有意に上昇を認め(p<0.0001)、治療後の冠動脈径とEMPsにおいて強い正の相関(相関係数:R=0.512(右冠動脈),R=0.488(左冠動脈))を認めた。さらに、CAL群IVIG治療後において、治療前、回復期及びNon-CAL群と比較しFold change>2を示すmicroRNA 16種類(全体の0.6%)を同定した。IPA解析にて16種類のmicroRNAのうちG-CSFに影響するmiR-145-5pとmiR-320aを特定し、THP-1細胞実験にて炎症性サイトカインのmRNAを調整する結果を得た。【結語】EMPsは川崎病患者を予測するだけでなく、川崎病急性期におけるCALを予測することができ、さらにCAL群に特異的な2種類のmicroRNAは炎症性サイトカインの遺伝子発現を調整し、川崎病の病因やCAL形成機序に重要な役割を果たしていることが示唆された。