第52回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

要望演題

カテーテル治療

要望演題5(YB05)
カテーテル治療

2016年7月7日(木) 08:30 〜 09:20 第A会場 (天空 A)

座長:
矢崎 諭(日本心臓血圧研究振興会榊原記念病院 小児循環器科)

YB05-01~YB05-05

08:30 〜 09:20

[YB05-01] 心房中隔欠損カテーテル治療中の心電図変化とその臨床的意義

須田 憲治1,2, 鍵山 嘉之1, 吉本 裕良1, 寺町 陽三1, 岸本 慎太郎1, 籠手田 雄介1, 工藤 嘉公1, 家村 素史2, 山下 裕史朗1 (1.久留米大学医学部 小児科, 2.聖マリア病院 小児循環器科)

キーワード:心房中隔欠損、カテーテル治療、心電図変化

【目的】心房中隔欠損カテーテル治療(TC-ASD)中の心電図(ECG)変化の頻度と臨床的意義について明らかにする。【方法】2006年から2015年までの間に、我々の施設でAmplatzer心房中隔欠損閉鎖栓(ASO)を用いたTC-ASD目的で心臓カテーテルを施行した患者の中で、TC-ASD中にECG上ST上昇を来した患者を検索し、患者の経過と予後について検討した。【結果】治療を受けた例は444/477例(93%)であった。対象患者の年齢 25.4±20.8(3.4-83.7)歳、Qp/Qs 2.4±0.9(1.1-7.0)、平均肺動脈圧 15±3.7(8-37)mmHg単位であった。477例中4例(0.8%)でST上昇を認め、全例II, III, aVFで右冠状動脈の虚血を示唆した。年齢は3, 55, 65, 69歳で、ASD径は14, 13.3, 31.3, 24mm。ST上昇とともに2例では血行動態上の大きな変化を合併した。3歳の症例は、ST上昇から完全房室ブロックとなり、アドレナリン静注、心臓マッサージ等を行い、患者は後遺症なく回復したが治療は中止した。本例は2年後に20mmのASOを用い、合併症無くTC-ASDを施行した。55歳の症例は、ST上昇とともに胸部不快感と低血圧を来し、急速補液を必要とすることを2回くりかえしたが、状態が落ち着いてから13mmのデバイスによりASDを閉鎖した。残り2例もST上昇を来したが症状なく、血行動態にも変化は無く、それぞれ34mmと20mmのデバイスによりASDを閉鎖した。1例に冠状動脈造影を施行したが、異常は認めなかった。全例、サイジングのため、ガイドワイヤやカテーテル等を肺静脈に留置する過程で、STの上昇を認めた。【結語】TC-ASD中はECGの注意深いモニターは重要である。稀であるが、肺静脈を中心とした左心系のガイドワイヤ操作に際しII, III, aVFのST上昇とともに、急激な血行動態の変化を来す可能性があり、常に準備が必要である。