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[YB05-03] 動脈管依存性体血流維持のための動脈管ステント導入後における新生児期治療の現状
キーワード:動脈管ステント、ハイブリッド治療、左心低形成症候群
【背景】左心低形成症候群(HLHS/HLHC)などの体血流を動脈管に依存する先天性心疾患(CHD)に対して、当院では大動脈順行性血流の有無や心機能などによって一期的Norwood手術(N術)、両側肺動脈バンディング(bPAB)と動脈管ステント留置(d-stent)を組み合わせて待機的N術あるいはさらに待機可能例では同時BDG術(B術)を選択している。【目的】d-stent導入後の新生児期治療の現状と短期予後を報告する。【対象・方法】当院でハイブリッドd-stentを開始した2014年11月~2016年1月に入院した左心系狭窄病変を有するCHD児39例(男14例)について、臨床経過を検討した。【結果】在胎週数38週4日(31週4日-41週4日)、出生体重2663g(1410-3798)、診断はHLHS11例、HLHC14例、IAA/CoA complex(IAA com)11例、単純型CoA(s-CoA)3例であった。初回手術前の死亡はHLHS2例(先天性喉頭狭窄、先天性乳び胸)であった。手術は一期的N術2例(HLHS1例、HLHC1例)、bPAB12例(HLHS5例、HLHC6例、s-CoA1例)、bPAB+d-stent13例(HLHS3例、HLHC5例、IAA com5例)、大動脈弓形成+mPAB4例、大動脈弓形成+心内修復術6例であった。d-stent13例中12例はハイブリッド法、1例は人工心肺下に留置し、HLHS3例が心不全治療のため入院継続しN術を施行、10例はPGE1製剤を中止して自宅退院が可能であった。その後2例がN+B術、1例がBVR(Yasui)を施行し、7例が待機中である。bPABのみで待機したbPAB群ではいずれも入院のうえPGE1製剤投与を継続、3例がN術、3例がN+B術、1例が二心室修復(BVR)に到達した。【まとめ】d-stentを選択できた症例では、bPABのみで待機した症例に比して入院とPGE1製剤投与期間の短縮が可能であった。大動脈や動脈管形態からd-stentの適応を判断すれば有効な治療選択となりうる可能性がある。しかし遠隔期におけるbPAB やd-stentでの長期待機の有用性については症例の蓄積が必要である。