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[YB11-03] 右側相同心に伴う機能的単心室・肺動脈閉鎖に対する、初回開心準備手術としての小口径弁付き導管を用いた右室-肺動脈シャントの術後中期成績
Keywords:右側相同心、肺動脈閉鎖、外科治療
【背景】右側相同心に伴う機能的単心室・肺動脈閉鎖・共通房室弁の治療成績は未だ満足できるものでない。当院では2012年から体肺動脈シャントに代わりePTFEシートから作成した弁を取り付けたφ5mm ePTFE人工血管を用いた岸本シャント(pRV-PA)を初回準備手術として行い開胸状態で帰室、clippingにより肺血流調整後に二期的胸骨閉鎖を行う治療戦略を採っている。【目的】本治療戦略の術後中期成績を後方視的に検討。【対象】2012年6月以降の右側相同心に伴う機能的単心室・肺動脈閉鎖・共通房室弁連続7例。男女比4:3、出生体重中央値3240g。pRV-PA以前に軽度より多い共通房室弁逆流例なし。4例で同時手術として新鮮自己心膜を用いた予防的肺動脈形成を併施。心外型肺静脈還流異常合併2例はいずれも出生前から還流路狭窄を合併し、出生当日に経カテーテル的ステント留置施行。術後平均観察期間中央値25ヵ月(3-43ヵ月)、追跡完遂率100%。【結果】pRV-PA手術時日齢中央値34日(10-56日)。観察期間内の死亡は、術後2ヶ月に壊死性腸炎から敗血症性ショックを来した1例。観察期間中RV-PA shuntに対する経カテーテル的治療を5例、バルーン肺動脈形成を4例に施行。経過中共通房室弁逆流は2例で中等度に進行、形成によりいずれも軽度へ改善。生存6例中、循環動態良好な10ヵ月未満の2例を除く4例が中央値8ヵ月でBDGを、うち循環動態良好だが自立歩行が未完了な28ヵ月の1例を除く3例で中央値24ヵ月に心外導管を用いたfenestrated TCPCを終了。【まとめ】肺血流の容易な微調整によりBDGまでの体心室容量前負荷を最低限で維持でき、分岐肺動脈への早期外科治療介入とその後の容易な経カテーテル的治療が左右均等な肺血管床維持に寄与した結果、本治療戦略の中期成績は良好であった。今後、症例の蓄積と長期の経過観察を行った上で、体肺動脈短絡術施行例との後方視的な比較検討を行う予定である。