18:00 〜 19:00
[I-EOP01-07] 無脾症候群に合併した高度肺静脈狭窄症の治療戦略
キーワード:無脾症候群, 肺静脈閉鎖症, 治療成績
【背景】無脾症候群に合併した高度肺静脈閉塞症(PVO)は、世界の主要施設の成績も不良で、現在最も治療困難な先天性心疾患のひとつである。当院では出生直後のカテーテル治療や体外循環下の計画的PVO解除術を第一選択とし積極的に治療介入をおこなったが、他施設と同様に成績不良で、一時期、同疾患群を治療非適応とした。しかし、2012年より計画的カテーテル治療(肺静脈ステント留置, PVS)を第一選択とし、その後に体外循環下にPVO解除術をおこなう方針とし良好な結果を得ている。当院における無脾症候群63例のなかで高度PVO合併例の治療成績を後方視的に検討した。
【方法】高度PVOを生後28日以内に何らかのPVO解除術(外科的ないしPVS)をおこなった症例と定義した。対象は10例。胎児診断例は8例(80%)。治療戦略の異なる、2004年~2011年までの6例(G-I)、2012年~2015年までの4例(G-II)を比較した。ステントはG-IではPALMAX P3008、G-IIではResolute Integrityを使用。G-IIでは胎児診断を基に高度PVO症例を選択し帝切を含む計画的な初回治療を施行した。
【結果】G-Iでは中央値日齢0日(0~7日)でPVS1例、外科治療5例に施行。G-Iでの生存は1例(17%)のみで、初回外科治療の術後早期に1例とPVS後の外科治療後に1例、そしてBCPSを施行した3例のうちの2例が遠隔期に死亡し、生存の1例はTCPCへ到達した。G-IIでは中央値日齢6日(0~20日)でPVSが2例、PVS困難症例2例に外科的解除術を施行。PVS後平均5.1か月で共通肺静脈幹が肺内走行していた症例が遠隔死。初回治療後3例がBCPSを経て2例がTCPC到達し、1例待機中であり生存率は75%(vs G-I, p=0.07)である。
【まとめ】無脾症に合併した高度PVOに対し、カテーテル治療を優先する計画的治療戦略により生存率、TCPC到達率の飛躍的な改善が得られた。新生児期の開心術を極力回避する胎児診断に基づいた計画的治療戦略と薬剤溶出ステントの使用が奏功したと考える。
【方法】高度PVOを生後28日以内に何らかのPVO解除術(外科的ないしPVS)をおこなった症例と定義した。対象は10例。胎児診断例は8例(80%)。治療戦略の異なる、2004年~2011年までの6例(G-I)、2012年~2015年までの4例(G-II)を比較した。ステントはG-IではPALMAX P3008、G-IIではResolute Integrityを使用。G-IIでは胎児診断を基に高度PVO症例を選択し帝切を含む計画的な初回治療を施行した。
【結果】G-Iでは中央値日齢0日(0~7日)でPVS1例、外科治療5例に施行。G-Iでの生存は1例(17%)のみで、初回外科治療の術後早期に1例とPVS後の外科治療後に1例、そしてBCPSを施行した3例のうちの2例が遠隔期に死亡し、生存の1例はTCPCへ到達した。G-IIでは中央値日齢6日(0~20日)でPVSが2例、PVS困難症例2例に外科的解除術を施行。PVS後平均5.1か月で共通肺静脈幹が肺内走行していた症例が遠隔死。初回治療後3例がBCPSを経て2例がTCPC到達し、1例待機中であり生存率は75%(vs G-I, p=0.07)である。
【まとめ】無脾症に合併した高度PVOに対し、カテーテル治療を優先する計画的治療戦略により生存率、TCPC到達率の飛躍的な改善が得られた。新生児期の開心術を極力回避する胎児診断に基づいた計画的治療戦略と薬剤溶出ステントの使用が奏功したと考える。