The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

E-Oral Presentation

川崎病・冠動脈・血管

E-Oral Presentation 3 (I-EOP03)

Fri. Jul 7, 2017 6:00 PM - 7:00 PM E-Oral Presentation Area (Exhibition and Event Hall)

Chair:Takamichi Ishikawa(Department of Pediatrics, Hamamatsu University School of Medicine)

6:00 PM - 7:00 PM

[I-EOP03-05] 川崎病における大動脈の組織学的検討

佐藤 若菜, 横内 幸, 大原関 利章, 榎本 泰典, 竹田 幸子, 高橋 啓, 直江 史郎 (東邦大学医療センター 大橋病院 病理診断科)

Keywords:川崎病, 大動脈, 病理

【背景】川崎病血管炎は、主に中小型血管に発生すると報告されているが、大型血管の詳細については不明な点が多い。そこで、川崎病剖検例の大動脈に対して病理組織学的検討を加えた。【方法】35川崎病剖検例(罹患から死亡までの期間:6日~13年)の大型動脈に対し、HE、EVG、Azan染色に加え、マクロファージ(Mφ)マーカー(CD163)を用いた免疫組織学的検討を行った。さらに、大動脈とその主要分岐の観察が可能であった18病日例について各部位の炎症の有無と程度について検討した。【結果】急性期(40病日以内):17例のうち、Mφ等の炎症細胞浸潤を見たのは16例であったが、いずれもその程度は軽く動脈構築の破綻像は見られなかった。Mφの分布は、大動脈内膜のみ4例、内膜+外膜1例、内膜+中膜1例、全層(内膜+中膜+外膜)7例であった。全層のMφ浸潤をみた7例は10~30病日例で、Mφ浸潤が中膜外側1/2に限局4例、全層3例であった。遠隔期(40病日以降):18例のうち、罹患後48日~13年死亡の8例で内膜に限局した軽微なMφ浸潤をみたが、中膜や外膜のMφ浸潤は認められなかった。詳細に検討した1例では、腎動脈など大動脈からの分岐部や弾性型動脈から筋型への移行部でMφ浸潤が目立ったが、大動脈(胸部)では内膜、外膜に観察されたのみであった。【考察】今回の検索により、冠状動脈で高頻度に観察される動脈構築の破壊を伴った高度の血管炎所見は見いだせなかったが、川崎病急性期には大型動脈にも炎症が生じていることが確認された。炎症は内膜および外膜のMφ浸潤として始まり、外膜から中膜内へと炎症が波及し全層性炎症に至ると推定される。遠隔期にも内膜に限局してMφ浸潤が観察されたが、動脈炎の瘢痕と判定できる所見には乏しかった。詳細に検討した1例では、炎症所見は大動脈にも観察されたが大動脈からの動脈分岐部により強く生じていることが確認された。vaso vasorumの変化についても検討し報告したい。