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[I-EOP04-08] 超音波頸動脈モニターによる模擬回路、生体におけるマイクロバブルの測定
キーワード:超音波頸動脈血流モニター, マイクロバブル, GME
【緒言】人工心肺装置の気泡センサーでは感知できない微小気泡(MB)によるガス状微小塞栓(GME)が術後の認知機能障害の一因となりうる。MBは貯血槽内に流入した空気が貯血槽内のフィルターや送血ポンプによって砕かれることによって発生し、動脈フィルターのメッシュ径(約40μm)より小さいMBはそのまま生体に灌流される。末梢血管までたどり着いたMBはGMEを起こすと同時に、血管内皮細胞を刺激し炎症反応を惹起すると考えられている。【方法】今まで生体側においてMBの測定は困難であった。今回頸動脈血流モニター(HDK-BM001)を用い、小児人工心肺中のMB数を測定した。センサーは右頸動脈上の頸部に装着し、検出された微小粒子は周波数の分析により、気泡、栓子、ノイズ、アーチファクトと分類され、各微小粒子の径の測定も可能である。また臨床結果より牛血を用いた模擬回路にて静脈ライン、カルディオトミーからのMBの発生状況も測定した。【結果】MBの発生数は一症例当たり数個から数万個まで症例により大きな差があった。体外循環時間の長い症例、吸引・ベントポンプが高回転な症例、静脈ラインに持続的な空気の混入のある症例でMBの発生数が多かった。模擬回路の実験により、静脈ラインに混入した空気は貯血槽下部解放タイプのリザーバーにおいてMBの発生数が多かった。カルディオトミーからのMBの発生数は貯血槽の構造により差が見られた。【結語】小児人工心肺においては、低充填や低希釈、無効送血によるベント吸引量の増大などMBの発生しやすい環境にある。また脳血流量は成人より相対的に多いためMBの影響も大きいと考える。MBの発生状況をリアルタイムに観察し、ベント吸引量、貯血量を適宜調整しながら体外循環を行うことで、MBの発生数を削減することが可能であり、MBに起因するGME、炎症反応を低減できる可能性がある。そのためには、外科医のMBへの理解と良好なコミュニケーションが重要である。