1:55 PM - 2:45 PM
[I-OR04-03] 肝静脈波形を用いたFontan術後の肝線維化評価法の検討
Keywords:Fontan, うっ血肝, 肝線維化
【背景】Elastographyにおける肝硬度は肝線維化の程度と正の相関を示し、肝線維化の定量的評価に有用である。しかし肝硬度は中心静脈圧の影響を受けるため、Fontan術後のようなうっ血肝に伴う肝線維化の評価は難しい。超音波ドプラ法で検出した右肝静脈血流シグナルの波形パターン(肝静脈波形)は肝線維化とともに平坦化することが知られる。今回我々はFontan術後患者における肝静脈波形の有用性について検討した。【方法】研究に先立ち、心疾患のない慢性肝疾患患者189人で、腹部超音波での肝形態学的評価から肝硬変(LC)を高精度で診断する指標を作成した。2014年11月から2016年10月までに当院を受診したFontan術後症例42例(男性25例, 女性17例, 2-41歳)を対象とし、FibroScanを用いた肝硬度測定(LSM)及び肝静脈波形の測定を行った。肝静脈波形は平坦化の程度によりType1-5に分類した。腹部超音波で肝の形態学的評価を行い肝硬変(LC)と判定した症例の背景因子を検討した。【結果】肝形態学的評価によりLC 11例、非LC 31例に分類された。術後経過期間はLC群で有意に長かった(16.0年vs 9.5年, p < 0.05)。肝胆道系酵素や血小板数、肝線維化マーカーは有意差を認めなかった。LSM値はLC群で高くなる傾向にあった(23.2±5.6 vs 17.4±9.9 kPa, p=0.08)。肝静脈波形Type1/2/3/4/5に該当する症例はLC群で0/0/2/5/2例、非LC群で8/3/7/7/1例と、線維化進行に伴い波形が平坦化していた(p<0.001)。LCの診断能につきROC解析を行ったところ、ROC曲線下面積は、LSM 0.761、肝静脈波形 0.801であった。【考察】肝静脈波形は肝線維化とともに平坦化することが知られるが、我々はFontan術後患者においても肝静脈波形が様々に変化することを見出した。肝静脈波形は肝硬度測定や血液検査に比べ高いLC診断能を有しており、Fontan術後の肝線維化評価に有用であると考えられた。