The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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Free Paper Oral

成人先天性心疾患

Free Paper Oral 4 (I-OR04)

Fri. Jul 7, 2017 1:55 PM - 2:45 PM ROOM 2 (Exhibition and Event Hall Room 2)

Chair:Tomoaki Murakami(Chiba Children's Hospital)

1:55 PM - 2:45 PM

[I-OR04-03] 肝静脈波形を用いたFontan術後の肝線維化評価法の検討

中塚 拓馬1, 揃田 陽子2, 中川 勇人1, 進藤 孝洋3, 相馬 桂4, 白神 一博3, 朝海 廣子3, 池田 均2, 小池 和彦1, 平田 陽一郎3, 犬塚 亮3 (1.東京大学医学部附属病院 消化器内科, 2.東京大学医学部附属病院 検査部, 3.東京大学医学部附属病院 小児科, 4.東京大学医学部附属病院 循環器内科)

Keywords:Fontan, うっ血肝, 肝線維化

【背景】Elastographyにおける肝硬度は肝線維化の程度と正の相関を示し、肝線維化の定量的評価に有用である。しかし肝硬度は中心静脈圧の影響を受けるため、Fontan術後のようなうっ血肝に伴う肝線維化の評価は難しい。超音波ドプラ法で検出した右肝静脈血流シグナルの波形パターン(肝静脈波形)は肝線維化とともに平坦化することが知られる。今回我々はFontan術後患者における肝静脈波形の有用性について検討した。【方法】研究に先立ち、心疾患のない慢性肝疾患患者189人で、腹部超音波での肝形態学的評価から肝硬変(LC)を高精度で診断する指標を作成した。2014年11月から2016年10月までに当院を受診したFontan術後症例42例(男性25例, 女性17例, 2-41歳)を対象とし、FibroScanを用いた肝硬度測定(LSM)及び肝静脈波形の測定を行った。肝静脈波形は平坦化の程度によりType1-5に分類した。腹部超音波で肝の形態学的評価を行い肝硬変(LC)と判定した症例の背景因子を検討した。【結果】肝形態学的評価によりLC 11例、非LC 31例に分類された。術後経過期間はLC群で有意に長かった(16.0年vs 9.5年, p < 0.05)。肝胆道系酵素や血小板数、肝線維化マーカーは有意差を認めなかった。LSM値はLC群で高くなる傾向にあった(23.2±5.6 vs 17.4±9.9 kPa, p=0.08)。肝静脈波形Type1/2/3/4/5に該当する症例はLC群で0/0/2/5/2例、非LC群で8/3/7/7/1例と、線維化進行に伴い波形が平坦化していた(p<0.001)。LCの診断能につきROC解析を行ったところ、ROC曲線下面積は、LSM 0.761、肝静脈波形 0.801であった。【考察】肝静脈波形は肝線維化とともに平坦化することが知られるが、我々はFontan術後患者においても肝静脈波形が様々に変化することを見出した。肝静脈波形は肝硬度測定や血液検査に比べ高いLC診断能を有しており、Fontan術後の肝線維化評価に有用であると考えられた。