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[I-OR04-02] Fontan術後慢性期における積極的動静脈拡張療法(Super Fontan Strategy)導入の効果
Keywords:Fontan, 予後, 中心静脈圧
【背景】静脈特性の変化により、正常より高い中心静脈圧(CVP)を保つことはFontan循環成立のための生体の適応反応であるが、これは長期におけるFontan合併症の主因になっている。我々は、Fontan術後から積極的動静脈拡張療法により無負荷循環血液量比率の増加を目的とした薬物介入を最大限に行うことにより、術後1年におけるカテーテル検査で低いCVPで循環を保つSuper-Fontan(S-Fontan)循環を具現化できることを報告してきた。今回我々は、このStrategyを術後慢性に経過したFontan患者に新たに導入することにより、心拍出量を保ちながらCVPを低下させることができることを検証した。【方法】Fontan術後、平均6.2±0.5年を経過した29例(8.2±3.5才)に、静脈拡張剤としてニトログリセリン製剤(0.8-2.5mg/Kg)を新規に導入した。アンギオテンシン変換酵素阻害薬を服用していなかった症例では、エナラプリルを0.1-0.2mg/Kgで同時に導入した。導入前後3-6ヶ月における血行動態変化を検討した。CVPは採血時の末梢静脈圧から算定した。【結果】CVPは導入前13.6±2.6 mmHgから導入後9.4± 2.2 mmHgと有意に低下した(P<0.0001)。同時に施行したインドシア二ングリーンによる循環血液量と、末梢静脈駆血圧による平均循環充満圧の比から算出した静脈キャパシタンスは、S-Fontan Strategyにより、有意に増加し(25.8±9.6%、p<0.0001)、静脈拡張療法の具現化によるCVPの低下を支持した。また、同Strategy導入による心拍出量の低下はなく、後負荷の有意な軽減からむしろ心拍出量の増加をみた(p<0.001)。【結語】静脈キャパシタンスはFontan術後患者におけるよりよい循環維持のための重要な標的と考えられ、慢性期術後10年未満のFontan循環においても、CVPを有意に低下させることが可能で、Fontan患者の予後改善に大きな進歩をもたらしうる。今後前方視的検証に値する概念と考える。