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[I-OR08-03] 右心室以外の心筋へと寄与する新たな心筋前駆細胞の同定
キーワード:心筋発生, 前駆細胞, 左心室
【背景】心臓発生過程において、二次心臓領域の発見から心筋前駆細胞が複数存在することが示された。しかし、二次心臓領域以外の心筋前駆細胞について不明な点が多い。【目的】心筋形成領域に発現するSfrp5遺伝子を発現した細胞が、心筋前駆細胞であるか否かを検討する。【方法】Sfrp5-venusYFP、Sfrp5-CreおよびSfrp5-Ert2Creノックインマウスを用いて、免疫染色などの解析から、発現細胞およびその系譜細胞が寄与する心筋領域を同定する。【結果】Sfrp5-venusYFPマウスを用いた解析でSfrp5の発現細胞は、胎生(E)7.5日の心臓原基の背側側からやがて原始心筋細胞の静脈極に限局し、E10.5以降、静脈洞へと分化した。一方、Sfrp5-CreおよびSfrp5-Ert2Creノックインマウスを用いた解析から、発現系譜細胞は、その発現を消失した後、静脈洞のみならず、左心室、心房、流出路の心筋細胞に寄与していたが、右心室にはほとんど認められないことが明らかとなった。【考察】これらの結果から、従来の一次心臓領域の心筋前駆細胞は、Sfrp5発現細胞に含まれ、静脈洞との共通の前駆細胞である可能性がと考えられる。また、右心室の心筋前駆細胞は、他の心室とは異なると思われる。【結論】Sfrp5発現細胞は、発現を保持した細胞が静脈洞の心筋へ、その発現が消失した細胞が、流出路、左心室、および心房の心筋へ分化することから、右心室以外の心筋へと寄与する新たな心筋前駆細胞である可能性が強く示唆された。