4:55 PM - 5:45 PM
[I-OR13-02] MRIによる門脈・肝静脈径と、肝機能マーカーとの関係
Keywords:門脈, MRI, Fontan
【背景】Fontan循環においては、体静脈うっ滞や高い中心静脈圧(CVP)によって、肝臓が障害されることは既知である。肝臓を画像上評価する方法として、エコーやMRIがあるが、Fontan術後患者における評価は一定しない。【目的】Fontan手術後を中心とした先天性心疾患の遠隔期症例における、肝臓MRIでの肝血管うっ滞の程度の評価法を確立する。【対象】肝臓MRI検査を行ったFontan手術後30例(平均10.1歳±7.7歳)。【方法】MRIにて肝臓横断面を、T1強調out of phase画像にて撮影した。門脈直径(PVD)と中肝静脈直径(MHVD)と、それらを体表面積で除したPVDiとMHVDiを計測した。これらを年齢、Fontan術後期間、並びに心臓カテーテル検査により測定されたCVP値・SaO2値、血液肝機能マーカー(血小板数・AST・ALT・γGTP・総ビリルビン・ヒアルロン酸・P-3-P・コラーゲン7S)と比較した。【結果】PVDiとMHVDiは、年齢に有意に逆相関した(R2=0.32, p<0.01: R2=0.33, p<0.01)。PVDiとMVHDiが増加すると、LDHが有意に上昇した(R2=0.72, p<0.01: R2=0.84, p<0.01)が、PVDiが増加すると総ビリルビン値とヒアルロン酸値が有意に低下した(R2=0.26:p<0.01, R2=0.15:p=0.04)。CVP・SaO2や他の肝機能マーカーとの間に相関は認められなかった。【結語】Fontan術後の肝静脈・門脈直径は、肝障害のマーカーとして利用できる可能性がある一方で、Fontan術後の肝障害は複雑な経路で起こり、肝静脈・門脈は拡大することで肝機能を一部代償している可能性が示唆された。