第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

外科治療

一般口演 14 (I-OR14)
外科治療 1

2017年7月7日(金) 08:40 〜 09:30 第6会場 (1F 展示イベントホール Room 6)

座長:麻生 俊英(神奈川県立こども医療センター 心臓血管外科)

08:40 〜 09:30

[I-OR14-02] 肺動脈閉鎖、MAPCAを合併する機能的単心室患者の外科治療の成績

井出 雄二郎, 村田 眞哉, 伊藤 弘毅, 菅野 勝義, 今井 健太, 石道 基典, 福場 遼平, 坂本 喜三郎 (静岡県立こども病院 心臓血管外科)

キーワード:MAPCA, Unifocalization, 無脾症候群

【目的】MAPCAを伴うPA/VSDに対する、Unifocalization(UF)は広く受け入れられた治療となっている。近年ではその治療経験の蓄積と供に、MAPCAを有する機能的単心室患者にもUFは適応され、その治療成績の報告が散見されている。本研究では、この稀な先天性心疾患に対する当院での手術成績を検討する。【方法】1994年1月-2017年1月に、当院で初回より手術介入した肺動脈閉鎖及びMAPCAを持つ機能的単心室患者10例(無脾症候群 9例、純型肺動脈閉鎖1例)を対象とした。診療録を元に臨床経過を後方視的に検討した。【結果】胎児診断7例。cPA欠損は2例。各患者における平均のMAPCAの数は3.5±1.9。3中央値月齢2.6ヶ月(日齢1-10ヶ月)、体重3.6(2.5-8.4)kgで、初回手術介入(最古の1例を除く9例で正中切開アプローチ、新生児4例を含む)。7例でUF+BT shunt、2例で中心肺動脈(cPA)のrehabilitationを目的としたshunt設置、1例でMAPCAのbandingを施行。4例で心外型TAPVC(上心臓型:3, 下心臓型:1)の修復を同時施行。院内死亡3例(難治性気胸、気道出血、壊死性腸炎)、退院後自宅死亡1例(呼吸不全)。残りの6例は、中央値年齢1.9歳(0.48-7.5)、体重9.0(3.0-14.4)kgでGlenn手術到達。5例(直近の1例は待機中)が、許容できる中心静脈圧(11±1.7mmHg)及びSpO2 (91±3.7%)で、中央値年齢3.0歳(2.3-8.0)、体重12.1(8.3-15.3)kgでFontan手術(4例で開窓付き)に到達している。またFontan手術到達後の平均フォローアップ期間は7.4±5.0年であり、ほぼ全例で制限のない日常生活を送ることが可能となっている(NYHA class1:4例、class2:1例)。【結語】MAPCAを持つ機能的単心室患者においてもUFは効果的に行うことができ、中期的にも良好なFontan循環が維持可能となっている。一方、新生児期に修復が必要な心外型TAPVCを合併する症例では、依然救命が難しく、今後の課題だと考えている。