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[I-OR14-04] 中心肺動脈形成を伴うBTS症例における左右肺動脈形態の検討
キーワード:中心肺動脈形成, BTS, 肺動脈縮窄
肺動脈形態が良好で肺動脈分枝を温存することで有効肺区域を損なわないのであれば、肺動脈縮窄(CoPA)を伴う疾患に対する人工心肺下での中心肺動脈形成を伴うBTSは正当化されると考える。当院で中心肺動脈形成を併施したBTS症例で左右肺動脈形態を検討した。【対象】中心肺動脈形成を併施したBTS6例(男児5、女児1)手術時体重2.2~4.8kg(中央値4.56)、日齢22~90日(中央値52.5)診断は単心室群3(無脾症1)、両心室群3(cTGA/PA1,PAVSD2)。肺動脈閉鎖5、狭窄1、6例中4例でCoPAを、5例で両側SVCを合併。手術は胸骨正中切開、人工心肺下で左右端々吻合による中心肺動脈形成と腕頭動脈からのBTSを基本術式とした。【方法】BTS前後で左右肺血流分布、肺動脈径、形態、左右肺動脈がなす角度について検討し、二期手術以降に達した症例でも同様に検討した。【成績】BTS前後でSpO2,CTRに有意な変化なし。左右肺動脈がなす角度を測定したところ、術後有意に大きくなり左右肺動脈形態は直線状になった。BTS後に左右肺血流不均衡(6:4以上の左右差)例は1例のみで、他5例で血流比0.74-0.96と左右均等であった。肺血流は均等だが左右PAIとも100以下の症例が2例、左PAIが100以下の症例が1例存在(肺血流不均衡の1例)。前2例は肺動脈の成長を即すためBTSのsize upを行い術後PAIは100を超え、後者はBDG時に肺動脈形成を追加した。二期手術以降施行例において全例左右肺血流分布は均等に保たれ、全例で肺動脈分枝の温存が可能であった。【結論】低体重例や肺動脈低形成例でBTSのsize upを要することはあるが、初回に中心肺動脈形成をきちんと行い、肺血流供給源を中心肺動脈領域から一元化することで、左右均等な肺血流供給と肺動脈分枝の温存が全臨床経過で可能であり、新生児・乳児期早期に人工心肺を使用するという諸問題を凌駕する結果が得られることから、中心肺動脈形成を伴うBTSは妥当な術式と考え今後も継続する。