第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

集中治療・周術期管理

一般口演 18 (I-OR18)
集中治療・周術期管理 1

2017年7月7日(金) 15:10 〜 16:00 第6会場 (1F 展示イベントホール Room 6)

座長:佐藤 誠一(沖縄県立南部医療センター・こども医療センター 小児循環器内科)

15:10 〜 16:00

[I-OR18-02] 当院における先天性心疾患児に対するECMO治療

岩崎 美佳, 枡岡 歩, 細田 隆介, 保土田 健太郎, 加藤木 利行, 鈴木 孝明 (埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓外科)

キーワード:ECMO, ICU, 離脱率

【背景】ECMOは、小児例を含めた先天性心疾患術後において人工心肺離脱困難や重篤な心機能不全、心肺蘇生時の補助循環手段として用いられているが、その結果は決して満足するもではないのが現状である。【目的】当院での先天性心疾患術後のECMO治療について問題点を明らかにすること。【方法】2007年4月~2016年12月までにECMOを施行した42例中、ECMO導入理由と導入場所・補助日数・離脱の可否について検討。【結果】対象はHLHS(含む類縁疾患)15例、単心室症例 14例、TGA 4例、TAPVR 2例、TOF 2例、Ebstein病 2例、他 3例。導入場所は、ORでの導入(O群)14例、ICUでの導入(I群)28例。導入理由は、O群はすべて人工心肺からECMOへ移行、I群では心肺蘇生例 8例、低酸素血症 10例、心機能低下例 10例。導入時日齢は、183±308.3日(O群:112±140.7日,I群:218±361.8日)。ECMO導入時体重は4.3±1.kg(O群:3.9±1.4kg,I群:4.5±2.kg)。補助期間は7.3±8.00日(O群:5.6±4.26日,I群:8.1±9.27日)。ECMO離脱率は59.5%(25例/42例)、O群: 85.7%(12例/14例)、I群: 46.4%(13例/28例) p<0.05)。I群内での導入理由別では、低酸素血症例離脱率は50%(5/10)、心機能低下例離脱率は40%(4/10)、心肺蘇生例の離脱率は50%(4/8)であった。【考察】2群間では、ECMO導入時日齢・体重・補助日数・基礎疾患について有意差は認めなかったが、ECMO離脱率は、I群で有意に低かった。またI群内における導入理由別での離脱率に有意な差は認めなかった。以上より、ORでのECMO導入では、導入直前まで人工心肺補助下であることが多いと思われるが、ICUでの導入では、ECMO開始直前の血行動態は大きく乱れていることが多い。この事から、血行動態を著しく落ち込ませる前にECMO導入の決断することが、ECMO離脱率の改善につながる可能性が示唆された。