第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

カテーテル治療

一般口演 23 (I-OR23)
カテーテル治療 1

2017年7月7日(金) 13:45 〜 14:45 第7会場 (2F 研修交流センター 音楽工房ホール)

座長:杉山 央(東京女子医科大学 循環器小児科)

13:45 〜 14:45

[I-OR23-03] 心室中隔欠損に対する経皮的カテーテル閉鎖術の可能性

浅田 大1, 佐々木 赳1, 藤井 隆成1, 樽井 俊1, 宮原 義典1, 曽我 恭司2, 石野 幸三1, 富田 英1 (1.昭和大学横浜市北部病院循環器センター, 2.昭和大学横浜市北部病院こどもセンター)

キーワード:心室中隔欠損症, カテーテル閉鎖, Amplatzer duct occluder

【背景】筋性部以外の心室中隔欠損(VSD)に対する経皮的閉鎖術はいまだ議論があり、日本ではほとんどの場合外科手術が選択される。一方、アジア圏を中心とする海外から、傍膜様部VSD(pmVSD)に対するAmplatzer duct occluder (ADO)を用いた経皮的閉鎖術が報告されてきており、安全性、有効性への期待が持たれる。【目的】潜在的にADOによる経皮的閉鎖術の適応となり得るpmVSDの頻度を把握すること。【方法】過去の報告を基にADO閉鎖術の適応基準を以下の通りとした。1) 明らかな左室容量負荷を認める、2) 体重10kg以上、3) 欠損孔径7mm以下、4) 大動脈弁と欠損孔に十分な距離があり右/無冠尖逸脱を認めない、5)有意な弁逆流、心電図異常を認めない。当科における過去10年間のVSD患者の年齢、体格、臨床経過、検査データ(心エコー、心臓カテーテル、心電図)を後方視的に検討し、上記の適応基準を満たす症例を抽出してその頻度を調査した。【結果】当科を受診したVSD患者は456名、うち追跡し得た360名の内訳は自然閉鎖102例、手術施行例121例(うちpmVSD 69例)、経過観察中136例(うちpmVSD 101例)であった。既にADOによる閉鎖術が施行された1例は除外した。手術群69例中10kg以上は9例のみであり、うち3例は右/無冠尖逸脱のため除外し、上記の閉鎖適応基準を満たす症例は6例であった。その頻度は8.7%(6/69)、手術時点で年齢3.3±1.8歳、体重12.7±2.1kg、欠損孔4.2±1.4mmであった。一方経過観察群では、容量負荷を認めるものが32例あり、そのうち11例は右/無冠尖逸脱のため除外し21例が閉鎖適応基準を満たした。その頻度は20.8%(21/101)、直近の外来受診時点で年齢17.1±17.8歳、体重34.7±18.7kg、欠損孔4.2±1.9mmであった。【考察】VSDに対する経皮的閉鎖術は、適応を絞れば有効かつ安全である可能性があり、本邦への導入に期待が持たれる。