Free Paper Oral 23 (I-OR23)

[I-OR23-04] 小学校就学前の小児例に対する経皮的心房中隔欠損閉鎖術の有効性

^○上田 秀明, 柳 貞光, 稲垣 佳典, 加藤 昭生, 北川 陽介, 佐藤 一寿, 小野 晋, 咲間 裕之, 金 基成 (神奈川県立こども医療センター循環器内科)

Keywords:経皮的心房中隔欠損閉鎖術経皮的心房中隔欠損閉鎖術, Occlutech, erosion

【背景】2005年に経皮的心房中隔欠損閉鎖術が本邦で導入されて以来、11年経過したが、小学校就学前の小児例に対する経皮的心房中隔欠損閉鎖術の安全性は確立していない。【目的】小学校就学前の小児例に対する経皮的心房中隔欠損閉鎖術の安全性を検証すること。【結果】対象は2006年8月から2016年9月までに経皮的心房中隔欠損閉鎖術を試みた小学校就学前の小児172例、うち女児が107例。年齢は4.9±0.9歳（中央値5.1歳）、体重16±2.8歳（中央値16kg）。実際に留置し得たのは162/172例（94%）。欠損孔径は12±4.6mm（中央値11mm）、留置した閉鎖栓径15±5.1mm（中央値14mm）。大動脈rim 2mm未満が43/172例（25%）。Occlutech Figulla Flex II septal occluderは2016年3月より用いており、計21例に留置。閉鎖栓のサイズの変更を要したのが11/162例（6.8%）。大動脈への有意な圧迫を認めたため、サイズダウンアップを行ったのが9/162例（5.2%）、欠損孔の過小評価のため。サイズダウンアップを要したのが2/162例（1.2%）。大動脈への有意な圧迫を認めたため、留置を断念したのが、5/172例（2.9%）、いずれも22-28mmの20mmを超える閉鎖栓。有害事象は、IVC rim欠損の脱落例1例（外科手術により回収、閉鎖術）、房室解離2例（一過性で帰室時には消失）。留置例は全例4泊5日、輸血を要した症例なし。erosion例なし。【考察】閉鎖栓による大動脈への圧迫のため、閉鎖栓のサイズ変更や留置断念した症例が、計14例認めた。周囲の組織への圧迫が小さいとされるOcclutech Figulla Flex II septal occluderの閉鎖栓により、大動脈の圧迫の問題点の改善が期待されるものの、厳重な閉鎖栓のサイズ選択が求められる。【結語】慎重な症例選択や厳重な閉鎖栓のサイズ選択を要するものの、小学校就学前の小児例に対する経皮的心房中隔欠損閉鎖術は有効で、安全である。