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[I-OR24-03] 冠動脈起始異常症(AAOCA)に対する外科的治療介入の経験
キーワード:冠動脈起始異常, 外科治療, 突然死
【背景と目的】冠動脈起始異常症は稀な先天性心疾患であるが,時に若年者の突然死の原因となる.外科的治療介入を行った3症例を経験したので報告する.【方法と成績】症例1)16歳,男性.55kg.体育のマラソン後にVFを発症し,AEDで洞調律に復帰.当院搬送され,CT検査で左冠動脈右冠尖起始,壁内走行疑いの診断.unroofing施行.術後MDCTで開口部に問題なく,運動負荷心電図で虚血所見を認めなかった.運動制限なく経過観察中.症例2)2歳10ヶ月,男児.12kg.過去3回の意識消失,痙攣の既往あり.起床直後に突然の意識消失があり,当院PICUに救急搬送.来院時PEAのためCPR,16分後にROSC.心エコーで右冠動脈左冠尖起始,壁内走行疑いの診断.神経学的後遺症の評価後に手術介入予定であったが,再び突然のST低下,BP低下からPEAとなり4分間のCPR.緊急でunroofing施行.術後,虚血様のイベントは消失したが,神経学的後遺症残存し,リハビリ目的に転院.症例3)7か月,女児.5.5kg.21trisomy,VSD2の診断で,VSD閉鎖術を予定.術前心臓カテーテル検査で,大動脈造影目的にpigtailカテーテルを操作中,ST低下,BP低下を認めた.造影所見から冠動脈起始異常を疑い,エコー検査で右冠動脈左冠尖起始,壁内走行疑いの診断.VSD閉鎖手術時の経心膜エコーで,開口部はslit状で壁内走行であることを確認.ポンプ開始後に著明なST変化あり,直視下でRCA確認すると,開口部はslit状,交連部を横切る部位でゾンデに抵抗があった.交連を一度大動脈壁から外して,unroofing施行し,RCC側に再縫着した.術後経過問題なく退院.退院後はエコーで開口のみ確認.【結論】有症状の冠動脈起始異常の年長児に対する治療介入に異論はないが,無症状の低年齢児の右冠動脈起始異常に対する手術適応は議論ある.冠動脈口の形態や角度,壁内の走行およびその交連部通過の有無などで虚血リスクを総合的に判断し,治療適応を決める必要がある.