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[I-OR24-04] 大動脈炎,大動脈弁膜炎から重度大動脈弁閉鎖不全,完全房室ブロックを来したベーチェット病の1例
Keywords:ベーチェット病, 大動脈瘤, 大動脈弁閉鎖不全症
【背景】ベーチェット病(BD)は皮膚粘膜症状(口内炎,外陰部潰瘍,皮疹)と眼症状(虹彩炎,ぶどう膜炎)を特徴とする原因不明の慢性炎症性疾患で,炎症の増悪と寛解を反復する.心血管BDは稀であるが,大動脈炎,大動脈弁膜炎から重篤な大動脈弁閉鎖不全(AR)に至る.感染性心内膜炎(IE)が当初疑われ,後にBDと診断された1例を報告する.【症例】12歳,男児.半年前から易疲労感,胸部不快感,発熱を反復した.発熱,活気不良,心雑音にて前医に入院,大動脈二尖弁,AR,IEと診断,治療された.抗菌薬投与後,解熱し炎症反応低下したが,ARによる心不全,乏尿,腎機能低下を来し,15日後に当院に転院.心エコーでAR 4度,著明な大動脈弁無冠尖逸脱,大動脈弁周囲のecho-free spaceを認め,心電図は1度房室ブロック(AVB).IEによる大動脈弁周囲膿瘍と診断し手術適応と判断.術中所見では大動脈基部の炎症,組織破壊が強く,無冠尖は弁輪部が断裂し弁尖がfloating,右冠尖は大きく欠損し右室流出路壁との間で仮性瘤形成.疣贅や膿の所見なし.大動脈基部形成,Konno-Bentall施行.AVBは術中3度から一旦1度まで回復したがその後再び3度に進行,7日後ペースメーカ植込術施行.細菌検査では術中検体,前医での血液5セットも含めすべて培養陰性.病理組織検査では無冠尖,右冠尖,上行大動脈壁に高度の炎症細胞浸潤を認めたが細菌集塊や貪食像なし.非感染性大動脈炎,大動脈弁膜炎と診断され,BDに矛盾しない所見.術後の詳細な問診から,反復する口内炎の既往が判明しBDと診断,免疫抑制療法を開始した.【まとめ】小児BDは典型的症状を示さず診断困難である.心血管病変は血行再建術のみでは再発率が高く,BDと診断し適切に治療を行うことが重要である.特徴的なエコー所見は稀な心血管BDを疑うきっかけとなる.