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[I-OR24-05] 川崎病類似マウス動脈炎モデルにおける自然免疫受容体の関与
Keywords:川崎病, デクチン, カンジダ
【背景・目的】川崎病は、血管炎症候群に含まれる小児の急性熱性疾患である。発症には何らかの感染因子の関与が疑われてきた。近年、体内微生物叢由来の川崎病特異的分子に関する報告がなされたが、病因は未だ不明である。病態としては自然免疫の関与が注目されるようになってきた。我々は、Candida albicans water soluble fractions (CAWS)誘導マウス系統的血管炎モデルを用いて血管炎の病態解析を続けている。本モデルの血管炎は川崎病に類似し、冠状動脈分岐部や心基部大動脈に好中球やマクロファージを主体とする血管炎を高率に発症する。血管炎誘発物質であるCAWSは、カンジダ細胞壁由来のマンナン・βグルカン蛋白複合体からなり、マンナンの構造が血管炎と関連すると推測されている。今回は、自然免疫受容体として知られるデクチン1 (βグルカン受容体)とデクチン2 (αマンナン受容体)の遺伝子欠損マウスを用いてデクチン1, 2の血管炎発症に及ぼす影響について検討した。【材料・方法】常法に従い、1回あたり4mgのCAWSを雄性マウス (野生型、デクチン1欠損、デクチン2欠損)の腹腔内に連続5日間接種した。接種終了後4週間で屠殺し、諸臓器の組織標本を作製、血管炎の発生率を比較した。【結果】血管炎発生率は、野生型:100% (18/18)、デクチン1欠損:100% (18/18)、デクチン2欠損:0% (0/18)であり、デクチン2欠損マウスでは血管炎発生率が有意に低下していた。組織学的に野生型およびデクチン1欠損マウスでは、冠状動脈や心基部大動脈に好中球とマクロファージを主とする血管炎が高率に観察された。また、頻度はやや低いものの肋間動脈や腎動脈、総腸骨動脈、腹部大動脈にも類似の血管炎が生じていた。【結論】本モデルの血管炎発症には、デクチン2によるαマンナン認識機構が不可欠である。