第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

川崎病・冠動脈・血管

一般口演 25 (I-OR25)
川崎病・冠動脈・血管 2

2017年7月7日(金) 16:05 〜 16:55 第7会場 (2F 研修交流センター 音楽工房ホール)

座長:須田 憲治(久留米大学医学部 小児科)

16:05 〜 16:55

[I-OR25-05] Single-source dual-energy CTによる川崎病冠動脈病変の石灰化組成の検討

草野 信義, 丸谷 怜, 稲村 昇, 篠原 徹, 竹村 司 (近畿大学 医学部 小児科学教室)

キーワード:川崎病, 石灰化, DECT

近年、dual-energy CT(DECT)を撮影し、実効原子番号(EAN)を得ることで、物質の構成成分を推定することが可能となった。成人領域において、アテローム性動脈硬化症の石灰化(CAC)のEANは、シュウ酸カルシウム一水和物に近い値との報告がある。これまで、川崎病冠動脈病変(KD-CAL)の石灰化に対する同様の研究はない。【目的】KD-CALの石灰化の組成を、EANを用いて明らかにする。【対象と方法】KD-CALを有する25人の患者に対し、DECTを撮影した。1mm以上の石灰化病変を有し、解析可能なデータが存在する11症例を対象とした。川崎病罹患年齢の中央値は3歳、撮影時年齢の中央値は36歳であった。画像の有効視野を6.0cmに再構成し、石灰化病変内に直径0.7mmの対象部位(ROI)を1病変当たり3個任意に設定した。ROIごとのEANの中央値、平均値、最大値を算出し、また、性別、急性期のγグロブリンの使用、冠動脈イベントの有無、川崎病罹患年齢、罹患後年数、冠動脈病変数、BMIについて比較検討を行った。【結果】23個の病変から69個のEANが得られた。KD-CALの石灰化におけるEANの中央値は12.27±0.83、平均値は13.24±0.80、最大値は13.59±0.72であり、CACのEAN(13.8±0.8)と大きな差は認めなかった。ROIごとの解析では、川崎病罹患年齢、BMIで有意差がみられた(p<0.01)。【結論】KD-CAL」の石灰化の組成は、CACと差はなかった。また、川崎病罹患年齢、BMIにより、石灰化の組成に差があることが示唆され、罹患年齢が1歳未満の症例、BMIが22未満の症例で、CACに近かった。KD-CALにおいては、冠危険因子を有さなくとも、CACと同様の石灰化を早期に生ずると考えられ、若年での冠動脈イベントの発生に注意が必要である。