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[I-P01-02] 肺高血圧症に対する内服治療を施行した多発性翼状片症候群の一例
キーワード:Multiple pterygium syndrome(多発性翼状片症候群), 肺高血圧, 関節拘縮
【背景】Multiple pterygium syndrome(多発性翼状片症候群)は,関節から顔面にかけて多発性にみられる翼状片とともに,関節拘縮を特徴とする先天奇形症候群である。知能は正常であり,早期からの理学療法で歩行も可能となるとされている。常染色体劣性遺伝形式を示す極めて稀な疾患であり,個々の症例報告が重要になってくる。本症候群では一般的に循環器疾患に関する報告はない。今回,肺高血圧が遷延し治療を要した一例を経験したので報告する。【症例】在胎29週時に羊水過多の為に当院に紹介された。在胎41週2日,2522g,Apgar score 1/2,誘発分娩で出生した。出生時より四肢の屈曲拘縮,overrapping finger,rocking chair footや鞍鼻などを認めたため奇形症候群が疑われ,精査を進め多発性翼状片症候群と診断された。出生後から心エコーでは肺高血圧が遷延した。生後5ヶ月の時点で三尖弁逆流から計測した推定右室圧は60mmHgだった。ベラプロスト内服を開始したが副作用のために内服を中止した。次いでシルデナフィル内服を開始したところ推定右室圧は徐々に改善を認め,1歳の時点では推定右室圧25-30mmHgまで低下した。以降もシルデナフィル内服を継続し良好に経過した。【考察】多発性翼状片症候群では後側彎や胸郭の狭小化による肺炎,呼吸困難,無呼吸などの呼吸に関する問題を認めることが多い。こうした気道の問題が肺高血圧に影響を与えた可能性がある。【結語】非常に稀な疾患であり今後の症例の蓄積が望まれる。