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[I-P03-02] 手術による治療介入が必要であった稀な先天性心血管奇形の3症例
Keywords:先天性心血管奇形, 重複大動脈弓, 肺動脈スリング
【背景】先天性心血管奇形は、頻度は高くないものの新生児期・乳児期に発症する喘鳴の鑑別診断として重要である。また、さらに稀ではあるが先天性心血管奇形を持ちながら無症状で成長し、成人に近くなって症状が出現する症例も報告されている。今回、我々は稀な先天性心血管奇形(肺動脈スリング、重複大動脈弓)により新生児期・乳児期に呼吸状態の悪化を認め手術介入を行った2症例と、13歳で生じた摂食障害の原因精査で重複大動脈弓が発見され、手術介入により摂食障害が改善した1症例を経験した為、文献的考察を含め報告する。【症例】症例1:日齢8に鎖肛手術前の心エコースクリーニングで肺動脈スリングを指摘された女児。徐々に呼吸状態が悪化し日齢76で人工呼吸器管理が必要となった。日齢86でスライド気管形成術と左肺動脈スイッチ術を行い、呼吸状態は改善した。症例2:胎児エコーで重複大動脈弓と診断されていた男児。出生後もしばらくは症状を認めなかったが、生後半年頃から食事中に気道症状が出現した。月齢13で大動脈弓修復術を行い、気道症状は改善した。症例3:人間関係によるストレスから摂食障害が出現したと考えられていた13歳女児。来院時、気道症状は認めなかった。既往は喘息のみでこれまで心血管疾患を指摘されたことはなかったが、摂食障害原因精査の胸部CTで重複大動脈弓の診断となった。劣性大動脈弓離断術を行った所、摂食障害は改善を認めた。【考察】稀な先天性心血管奇形の3症例を経験した。中でも成人期に近くなり初めて症状が顕在化し手術介入を必要とした症例は非常に稀で、成人で同様の症例報告は2014年までで20例程度に限られている。新生児・乳児期に発症する気道症状の鑑別診断として先天性心血管奇形は重要であると考えられることに加え、成人に近い症例でも摂食障害や気道症状の原因として先天性心血管奇形を考慮する必要があることを認識した。