6:00 PM - 7:00 PM
[I-P03-06] Posterior TGAに対する大動脈スイッチ手術の4例
Keywords:外科治療, 両大血管右室起始, Posterior TGA
【はじめに】Posterior TGAでは漏斗部中隔が右室自由壁から三尖弁側のVentricular infundibular foldへ接続し、左室血流が漏斗部中隔に遮られ大動脈弁方向に向かえず、外科的にはSecondary interventricular foramenの閉鎖とJatene手術が行われる。dTGAにおけるJatene手術と比べると冠動脈移植や心室中隔閉鎖法、肺動脈再建方法に注意が必要となる。Posterior TGAに対する4例の外科治療を経験した。【症例】症例1.冠動脈はShaher 6,生後まもなく肺動脈絞扼を行った。1歳10ヶ月時にOriginal Jatene手術を行い、経過は良好。術後軽度ARを認め内服治療中。症例2.Shaher 4,僅かにPRを認め、肺動脈絞扼は行わず、生後2週でOriginal Jatene手術を施行。術後1年で肺動脈吻合部狭窄に対して血管内治療施行。ARは認めず経過は安定している。症例3.Shaher 2A,大動脈離断合併し、拡大型大動脈再建と肺動脈絞を施行。2歳時にOriginal Jatene手術施行、後方冠動脈の移植により左室後側壁の虚血をきたした。冠動脈移植をやり直し、ECMO装着したが、心機能回復をせず、術後2週間で失った。症例4.Shaher 4,大動脈縮窄合併し、鎖骨下動脈フラップによる大動脈再建と肺動脈絞扼を行った。経過中、絞扼のdistal migrationから右肺動脈狭窄を認め、生後5ヶ月にOriginal Jatene手術を施行。術後、中等度房室弁逆流を認め内服加療中である。全例、冠動脈移植はtrap door法を用いた。Secondary interventricular foramenは経三尖弁的に漏斗部中隔と心室中隔の位置関係を評価し閉鎖した。【まとめ】Posterior TGAのJatene手術では冠動脈移植に際し、dTGAに比べ後方冠動脈の角度変化が大きく、屈曲による虚血に注意が必要である。大血管位置関係から肺動脈再建はLecompte maneuverでは左肺動脈の過進展の危険があるためOriginal Jatene法が良いが、肺動脈絞扼後の拡大したValsalvaを伴う症例では、移植後の後方冠動脈への配慮も必要となる。