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[I-P04-06] Amplatzerを用いた起始異常鎖骨下動脈による気管狭窄解除と気管動脈瘻予防手術
Keywords:起始異常鎖骨下動脈, カテーテル治療, 気管狭窄
【はじめに】起始異常鎖骨下動脈(aberrant subclavian artery: ARSA)は頻度が高い大動脈弓の奇形で、通常は無症状だが、血管輪を形成して気管や食道の狭窄症状を引き起こすことがある。また、ARSAは稀に気管や食道と動脈瘻を形成して、致死率が高いと報告されている。今回、ARSAによる気管狭窄と、気管動脈瘻の発生が危惧された症例に対しAmplatzerを用いたARSA閉鎖を行い良好な経過が得られたので報告する。【症例】12歳、女児。心室中隔欠損、肺動脈閉鎖、主要体肺動脈側副血行に対して段階的手術を施行した。9歳時に行った姑息的右室流出路再建時のトラブルで低酸素脳症を発症し、気管切開、人工呼吸器管理を行っていた。約2年間、呼吸状態は安定していたが、次第に気管狭窄音を聴取するようになり、CT検査では、ARSAと右総頸動脈が血管輪を形成し、同部位で気管が狭窄し、気管チューブの先端はARSAに食い込むように接触していた。気管鎖骨下動脈瘻形成予防と、気管狭窄解除が必要と判断したが、開胸術は侵襲が大きく、ARSAへのアプローチも困難であることからカテーテル治療を選択した。右大腿動脈からアプローチしARSAの遠位側、右内胸動脈手前にAmplatzerを留置した。ARSAから分岐する小血管をコイル塞栓後、ARSA起始部にAmplatzerを追加留置するとARSAは速やかに血栓化し、気管支鏡で認めていた狭窄部の拍動、発赤は消失した。治療後数日で気道狭窄症状は改善し、CTでもARSAの退縮、気管狭窄解除とカニューレのARSAへの接触解除を確認した。患者状態は、治療後半年で人工呼吸器の日中離脱ができるまで改善した。【まとめ】ARSAによる気管狭窄に対するカテーテル治療は低侵襲であり有効であった。気管動脈瘻を発症した場合は感染の観点から手術的治療が選択されるが、予防的に治療する場合はカテーテルによる塞栓術も選択肢の一つと考えられた。