The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Poster

電気生理学・不整脈

Poster (I-P05)

Fri. Jul 7, 2017 6:00 PM - 7:00 PM Poster Presentation Area (Exhibition and Event Hall)

Chair:Yoshiaki Kato(Department of Child Health, Faculty of Medicine, University of Tsukuba)

6:00 PM - 7:00 PM

[I-P05-09] 副鼻腔炎手術後の硫酸アトロピン使用後に重症不整脈とStress-Induced Cardiomyopathyの症状を呈した1例

永田 佳敬, 長井 典子, 池田 麻衣子 (岡崎市民病院 小児科)

Keywords:Stress-Induced Cardiomyopath, 心不全, 周術期

【背景】強い精神的・身体的ストレスによるたこつぼ心筋症はよく知られているが、全身麻酔時に関連した報告はこれまでにない。今回術後の硫酸アトロピン投与後に不整脈及び心機能低下を起こした症例を経験した。【症例】10歳3ヶ月男児。過去に全身麻酔下での陰嚢水腫の手術歴有り。既往に心疾患はなく、家族歴・アレルギー歴・術前検査に特記事項無し。副鼻腔炎のため全身麻酔下に内視鏡下副鼻腔手術終了後、麻酔のリバースとして硫酸アトロピンの投与直後、頻脈発作が起きた。麻酔科医はVTを疑いリドカインを投与したが停止せず、モニター波形の特徴からAF+AfのATと診断してランジオロールを使用し洞調律に復した。術後検査でCTR56%と軽度心拡大があり、ECGでV2-4にnotched Tを認めた。エコーではEF45%と低下し、MR2度、TR3度を認めた。採血ではTnIの軽度上昇のみであったため、絶食・点滴・安静で経過観察としたが、翌日も全身倦怠感が強く、Trpn-Iは2.433→1.425ng/mlと低下したが、NTproBNP 163→6144pg/ml、BNP 13.0→415pg/mlと上昇し、 エコー所見も改善しなかったため利尿剤とACE-Iを開始し徐々に心機能は改善した。経過中巨大陰性T波の出現はなく、カテコラミン3分画はアドレナリンが512pg/mlと軽度上昇し、Stress-Induced Cardiomyopathyの病態と推察した。トレッドミルで不整脈は出現しなかったが、緊張のため血圧が異常高値であった。心電図モニター、Holter ECGで問題なかったため退院とし、現在は外来で内服を中止し経過観察を継続している。【考察】本患児は生来過度の緊張をする性格であり、もともと手術の不安から過緊張になっていたところへ術後のアトロピン投与で交感神経優位となり、心筋症を誘発したと考える。基礎疾患のない児でも麻酔後のアトロピン投与時に不整脈や心筋症が誘発される可能性も考慮して、周術期の全身管理に臨む必要がある。