第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

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ポスター

周産期・心疾患合併妊婦

ポスター (I-P10)
周産期・心疾患合併妊婦

2017年7月7日(金) 18:00 〜 19:00 ポスターエリア (1F 展示イベントホール)

座長:西口 富三(静岡県立こども病院 周産期センター)

18:00 〜 19:00

[I-P10-10] 非心臓疾患を合併する新生児心臓疾患の管理

澤田 博文1,2, 三谷 義英1, 大橋 啓之1, 淀谷 典子1, 大槻 祥一朗1, 小沼 武司3, 早川 豪俊1, 不津木 綾乃3, 新保 秀人3, 丸山 一男2, 平山 雅浩1 (1.三重大学 医学部 小児科学, 2.三重大学 医学部 麻酔集中治療学, 3.三重大学 医学部 胸部心臓血管外科学)

キーワード:新生児, 先天性心疾患, 外科疾患

背景:新生児期に発症する心臓疾患は、様々な非心臓疾患と併存することが多く、互いの管理に影響を及ぼすと考えられる。目的:新生児心臓疾患に併存する非心臓疾患の治療内容を調査し、課題を明らかにする。方法:2011年1月-2016年12月、医学部付属病院NICUに入院した心臓疾患170例(未熟児動脈管開存は除外)中、非心臓併存疾患として(1)染色体異常など全身疾患(2)消化管疾患(3)気道疾患(4)中枢神経(5)腎尿路(6)血液(7)その他を有する例について、治療内容、予後を後方視的に調査した。結果:対象170例中、63例(37%)にいずれかの非心臓疾患(胎児診断32例)を認めた。全身疾患は43例(25%)、消化管15例(9%)、気道8例(5%)、中枢神経3例(2%)、腎尿路3例(2%)、血液6例(4%)その他2例であった。全身疾患はダウン症候群21例、18trisomy6例、13trisomy1例、22q11.2欠失2例、その他13例であった。消化管は十二指腸閉鎖狭窄5、鎖肛4、食道閉鎖1、臍帯ヘルニア1、口蓋裂1であった。血液は、一過性骨髄異常増殖(TAM)を3例、DICを3例に認めた。手術は19例(消化管14例、横隔膜ヘルニア2例、気管狭窄1例、髄膜瘤2例)で行われた。人工肛門造設施行後に、心臓手術が行われた例では、人工肛門に関連する創部感染、胃食道逆流に伴う呼吸障害などが問題となった。TAM例では、手術時期決定のため、血液腫瘍チームとの検討を要した。死亡退院は7例(11.1%)で18trisomy3例、ミラーディカー症候群1例、その他染色体異常2例、横隔膜ヘルニア1例であった。考察:新生児心疾患の37%に非心臓疾患を合併し、25%は染色体異常などの全身疾患に関連した。注意点として、初期診断時には生命予後不良疾患も含まれることに留意が必要なことや人工肛門造設などの周術期の管理を挙げた。結論:新生児期の心疾患には、非心臓疾患が高頻度に合併し、多領域のスタッフによる総合的な管理が必要である。