6:00 PM - 7:00 PM
[I-P11-10] 総肺静脈還流異常症の術後に肺動脈性肺高血圧症を発症した乳児例
Keywords:総肺静脈還流異常症, 肺高血圧, 肺静脈狭窄
【はじめに】総肺静脈還流異常症 (TAPVR)術後の肺高血圧症 (PH)は,その大部分が肺静脈狭窄や閉塞性病変 (PVO)によるものであり,肺動脈性肺高血圧症 (PAH)の発症は極めてまれである.
【症例】8か月の男児.在胎39週2日,体重2290gで出生した.生後異常の指摘なく一旦退院したが,日齢12から呼吸障害や尿量減少,活気不良が出現し日齢14に当院へ紹介され,TAPVR (1a),PVOと診断した.日齢16に修復術を施行したが,心機能増悪のため術後5日目まで体外循環を使用した.超音波検査でPHやPVOの所見なく,術後44日目に退院した.生後3か月時の超音波検査で,推定肺動脈収縮期圧が体血圧の8割程度と上昇しており,PHが疑われたため再入院した.心臓カテーテル検査で平均肺動脈圧39 mmHg,肺動脈楔入圧6 mmHg,肺血流シンチグラムで区域性血流欠損を認めずPAHと診断した.血液検査や造影CTで二次性PAHをきたす各疾患は否定的であり,家族歴もないことから,特発性もしくは先天性心疾患に関連したPAHを考えた.酸素吸入およびシルデナフィル,ベラプロストの内服を開始したところ,推定肺動脈収縮期圧は体血圧の5割程度まで低下した.
【考察】TAPVRの診断が遅れ高度のPVOが遷延したことが,術後の閉塞性肺血管病変の進行や肺血管攣縮の残存をもたらし,PAHの発症に至った可能性が推察された.
【症例】8か月の男児.在胎39週2日,体重2290gで出生した.生後異常の指摘なく一旦退院したが,日齢12から呼吸障害や尿量減少,活気不良が出現し日齢14に当院へ紹介され,TAPVR (1a),PVOと診断した.日齢16に修復術を施行したが,心機能増悪のため術後5日目まで体外循環を使用した.超音波検査でPHやPVOの所見なく,術後44日目に退院した.生後3か月時の超音波検査で,推定肺動脈収縮期圧が体血圧の8割程度と上昇しており,PHが疑われたため再入院した.心臓カテーテル検査で平均肺動脈圧39 mmHg,肺動脈楔入圧6 mmHg,肺血流シンチグラムで区域性血流欠損を認めずPAHと診断した.血液検査や造影CTで二次性PAHをきたす各疾患は否定的であり,家族歴もないことから,特発性もしくは先天性心疾患に関連したPAHを考えた.酸素吸入およびシルデナフィル,ベラプロストの内服を開始したところ,推定肺動脈収縮期圧は体血圧の5割程度まで低下した.
【考察】TAPVRの診断が遅れ高度のPVOが遷延したことが,術後の閉塞性肺血管病変の進行や肺血管攣縮の残存をもたらし,PAHの発症に至った可能性が推察された.