The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Poster

肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患

Poster (I-P11)

Fri. Jul 7, 2017 6:00 PM - 7:00 PM Poster Presentation Area (Exhibition and Event Hall)

Chair:Shinichi Takatsuki(Department of pediatrics, Toho University Omori Medical Center, Tokyo, Japan)

6:00 PM - 7:00 PM

[I-P11-09] 肺分画症は新生児期より肺高血圧をきたしうる

原田 雅子, 近藤 恭平 (宮崎大学 医学部 発達泌尿生殖医学講座 小児科学分野)

Keywords:肺分画症, 肺高血圧, pulmonary hypertension

【背景】肺分画症は気管支との交通を持たない無機能の肺組織が存在する疾患で、発症頻度は数万人に1人と稀である。小児では9割は無症候性で、症候性のほとんどは乳児期以降に下気道感染、呼吸障害を契機に診断され、早期から肺高血圧を発症したという報告は見られない。今回、新生児早期からの心不全症状、肺高血圧から肺分画症と診断され、肺葉切除術および肺高血圧に対する特異的治療を要した乳児例を経験したので報告する。【症例】1か月女児。生後早期から強い心不全症状を認め、心エコーで4mmの心房中隔欠損症を指摘された。造影CTにて気管軟化症の所見、および下行大動脈から左肺下葉舌区へ大きな異常血管を認め、肺内分画症と診断した。心カテにてQp/Qs 2.9、平均肺動脈圧(mPAP) 28mmHgと高肺血流と肺高血圧(PH)を伴っており、2か月時に左肺下葉切除術を施行。しかし術後も症状の改善に乏しく、4カ月時の心カテにてQp/Qs 1.0, mPAP 41mmHg、肺血管抵抗(PVR) 9.8WU・m2とPHの進行が判明したため、ボセンタン、タダラフィル、ベラプロストナトリウムで初期併用療法を開始した。胃軸捻転のため哺乳障害は残存していたが、呼吸障害は改善し、6か月時の心カテでは、Qp/Qs 1.3, mPAP 17mmHg, PVR 1.3 WU・m2と改善を認めた。【考察】本症例では、乳児早期にPHの原因である肺分画症の手術を行ったにも関わらず、その後もPHは進行した。胎児期より下行大動脈から肺静脈への短絡が存在し、卵円孔を通常とは逆の左右短絡として流入したと考えられる。即ち胎児期より高肺血流に晒されていたことに加え、出生後の呼吸障害、心房間交通がPHの進行に寄与したと考えられ、乳児早期で介入したにも関わらず術後PHが進行したと推察される。肺分画症は先天性肺疾患に起因する乳児PHの原因となり得ると考えられ、肺分画症とPHにつき文献的考察を加えて報告する。