第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター

肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患

ポスター (I-P11)
肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患 1

2017年7月7日(金) 18:00 〜 19:00 ポスターエリア (1F 展示イベントホール)

座長:高月 晋一(東邦大学医療センター大森病院 小児科)

18:00 〜 19:00

[I-P11-08] 経過と心エコーから手術困難と思われたが、全身麻酔下の心臓カテーテル検査で手術適応と判断された、VSD(I)・PH・重症CLDの超低出生体重児

松村 峻1, 川崎 秀徳1, 増谷 聡2, 岩本 洋一2, 石戸 博隆2, 先崎 秀明2 (1.埼玉医科大学 総合医療センター 小児科, 2.埼玉医科大学 総合医療センター 小児循環器科)

キーワード:pulmonary hypertension, chronic lung disease, shunt

【目的】肺高血圧が持続するVSDで容量負荷所見に乏しく、肺血管攣縮による低酸素血症・右左短絡増加を反復し、経過と心エコーから手術困難と思われたが、心臓カテーテル検査で手術適応と判断された慢性肺疾患(CLD)を合併した超低出生体重児例を報告する。
【症例】在胎23週4日で出生した超低出生体重児。出生体重540g、Apgar 4/8。気管挿管、サーファクタント補充で蘇生後も、長期に呼吸管理に難渋した。2mmの大きな肺動脈弁下VSDを認め、CLD(III)を合併した。3ヶ月時に抜管できたが、各種治療にても呼吸状態は増悪し、低酸素血症を来す右左短絡の増悪を反復し、酸素需要が増加した。1歳5ヶ月、心エコーでVSD 7mm、両方向性短絡、LVDd 28.5mm(112%N)、PR多量で圧較差が65mmHg(体平均血圧64mmHg)と著高であり手術困難と考えられたが、心雑音増強と左房容量負荷所見を有し、治療可能性検討のため、全身麻酔下(FiO2 0.6)に心臓カテーテル検査を施行した。PaO2 67mmHg、肺動脈圧48/18(32) mmHg、大動脈圧62/43(51) mmHg、Qp/Qs 2.47、Rp 2.60 units×m2で、呼吸を十分に保てば高肺血流・比較的低肺血管抵抗と想定外に肺循環は良好であった。1歳6ヶ月で肺動脈絞扼術、引き続き気管切開を施行した。術後1ヶ月で肺動脈絞扼部圧較差50mmHgであり、心不全・呼吸状態が改善し、退院できた。
【考察】肺血管抵抗・短絡量を含めた手術適否判断が心エコーのみでは難しく、適時・適した状態下の心カテ精査が重要と考えられた。本症例には十分な呼吸サポートが肺循環維持に必要で、CLDの増悪因子とされる陽圧換気を受容することで、肺動脈絞扼術を行うことができ、高肺血流によりもたらされる悪循環を断てた。結果、日常の陽圧換気は不要になった。