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[I-P11-07] 先天性横隔膜ヘルニア術後肺高血圧に対する治療内容の検討:単剤療法と多剤併用療法
キーワード:横隔膜ヘルニア, 肺高血圧, 多剤併用
【背景】先天性横隔膜ヘルニア(CDH)根治術後肺高血圧(PH)は生命予後と関連するが、CDH術後PHに対する肺高血圧治療の長期経過観察に関して、まとまった報告は少ない。【目的】当施設でCDH術後PHに対して内服治療を行った症例について、臨床経過をまとめ、その治療内容、効果と副作用について検証すること。【方法】2008年10月から2016年12月に、当院で治療を行ったCDH症例80例について、診療録より臨床情報を後方視的に調査し、CDH術後PHに対する肺血管拡張薬の効果と副作用を検討した。【結果】期間中、CDH術後PHに対して加療した13例のうち、途中転院の3例、術後PHを有するも敗血症などで死亡した1例を除く9例について解析した。左側CDH8例、右側CDH1例、出生前診断は9例中7例でなされていた。単剤療法(S群)が6例、多剤併用療法(P群)は3例であった。全例でsildenafilが用いられ、S群では開始時投与量は0.8±0.2mg/kg/day、最大投与量は2.0±0.8mg/kg/dayであった。P群では開始時投与量は0.8±0.3mg/kg/day、最大投与量は3.0±0.6mg/kg/dayであり、1例はberaprostとの2剤併用、もう2例はberaprost、bosentanとの3剤併用であった。治療開始後、全例でPHの改善を認めた。また、慢性肺疾患+気管軟化症を合併した1例は、胃食道逆流のため、sildenafilの増量が困難で3剤併用となっており、この症例以外は、明らかな副作用は認めなかった。【結論】CDH術後PHに対する肺血管拡張薬による治療においては、大多数の症例で、単剤療法での管理が可能だが、一部の症例で多剤併用を要した。多剤併用を要するCDH術後肺高血圧の長期経過観察報告はこれまでになく、今後も慎重に経過観察する必要がある。