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[I-P12-03] 川崎病急性期に合併した僧帽弁逆流および大動脈弁逆流
Keywords:川崎病, 僧帽弁逆流, 大動脈弁逆流
背景: 川崎病(KD)急性期に合併する僧帽弁逆流(MR)および大動脈弁逆流(AR)は汎心臓炎に合併することが知られている。超音波診断の向上により近年検出頻度が増加した。また冠動脈病変との関連も指摘されており、KDの重症度を反映すると考えられる。目的:MRおよびARの合併頻度と臨床像、およびKDの重症度との関連を明らかにすること。対象および方法:当研究は後方視的コホート研究で、2007年から2016年に福岡市立こども病院に入院の上KDと診断し治療を行った1248例を対象とした。入院時、入院中、退院前、発症3か月後に施行した経胸壁超音波検査(TTE)でMRおよびARを合併した群(MR/AR群)と合併しなかった群(非MR/AR群)に分け、治療開始病日、入院期間、γグロブリン不応、群馬スコア、血液検査、TTEでの冠動脈の拡張、瘤形成の有無、Ejection fraction(EF)、入院時心嚢液の有無等2群間の比較を行った。結果:MRまたはAR合併例は502例(40%)(MR合併478例、AR合併16例、MRかつAR合併8例)であった。MRまたはARが消失した例は346例(69%)、発症後3か月に残存した例60例(12%)であった。2群間比較(MR/AR群、非MR/AR群の順で示す)では、性別、発症時年齢、治療開始病日、入院期間、群馬スコア(5点以上の割合)に有意差はなかった。血液検査ではCRP(mg/dl)は8.8(±8.5) vs 7.6(±5.9) (p<0.05)、血沈1時間値(mm)は85(±29) vs 80(±29)(p<0.05)と有意差を認めた。TTEでは、EF(%)が71(±7) vs 73(±6.2) (p<0.05)でMR/AR群で有意な低下を認めた。心嚢液貯留の割合に差はなかった。冠動脈病変を合併した例は61/502例(12.2%) vs 44/746例(5.9%)(p<0.05)でMR/AR群で有意に多かった。冠動脈瘤を形成した例は6例で、いずれもMRをみとめた。結論:MRおよびARの合併頻度は以前の報告より多かった。またMR/AR群はKDの炎症マーカーがより高値で、冠動脈瘤との関連がみられることから川崎病の病勢を反映していると考える。