第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター

川崎病・冠動脈・血管

ポスター (I-P12)
川崎病・冠動脈・血管 1

2017年7月7日(金) 18:00 〜 19:00 ポスターエリア (1F 展示イベントホール)

座長:鮎澤 衛(日本大学医学部小児科学系小児科学分野)

18:00 〜 19:00

[I-P12-09] 薬物負荷下冠動脈血流比(FFR)にて有意狭窄を証明した左冠動脈起始異常

島袋 篤哉1, 竹蓋 清高1, 桜井 研三1, 鍋嶋 泰典1, 佐藤 誠一1, 中矢代 真美1, 赤繁 徹2, 渕上 泰2, 西岡 雅彦2, 長田 信洋2 (1.沖縄県立南部医療センター・こども医療センター 小児循環器内科, 2.沖縄県立南部医療センター・こども医療センター 小児心臓血管外科)

キーワード:先天性冠動脈起始異常, 心電図変化, 冠動脈血流比

【背景】若年アスリートの心血管イベントによる突然死の原因の一つとして先天性冠動脈起始異常が言われている。症状があっても心電図や負荷試験で陰性になることがあり、治療適応の判断に難渋することがある。【目的】冠動脈起始異常の治療適応の有無について検討する。【症例】生来健康な14歳男児。突然死の家族歴なし。サッカー部に所属しており、受診6ヶ月前から運動時の胸痛を自覚。安静にすれば、症状は軽快していたが、出現頻度が増えてきたため、前医を受診した。精査のため、トレッドミル運動負荷心電図(TMT)を施行したが、自覚症状、心電図変化は認められず、虚血に伴う胸痛は否定され経過観察となっていた。部活中にその後も症状が持続するため、当院受診。受診時の心エコーで全周性の左室壁運動低下を認めたため、冠動脈疾患を疑い、造影CTを施行したところ、左冠動脈無冠洞起始(Anomalous origin of left coronary artery)が判明。しかし、入院後の心電図ST変化、心筋逸脱酵素の上昇なく、安静のみで心機能の改善を認めた。虚血を証明するために、心臓カテーテル中にATP投与負荷下に左冠動脈の冠動脈血流比(FFR)を施行したところ0.75と有意な低下を認め、胸痛の自覚症状も出現した。臨床症状、心エコー所見とFFR結果を踏まえ、手術適応ありと判断し、LCA unroofingを施行した。【考察】若年のアスリートの運動強度が極期に起きた虚血は通常レベルの運動負荷検査では再現性が乏しいと考えられる。【結語】TMTで虚血を再現できなくても、経過により虚血存在を強く疑う場合、心臓カテーテル検査中の薬物負荷でのFFRを測定することは、虚血を証明し治療適応を決定する上で有効である。