第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター

学校保健・疫学・心血管危険因子

ポスター (I-P13)
学校保健・疫学・心血管危険因子 1

2017年7月7日(金) 18:00 〜 19:00 ポスターエリア (1F 展示イベントホール)

座長:片山 博視(大阪医科大学附属病院 小児科)

18:00 〜 19:00

[I-P13-06] 小児心電図基準値作成に関する研究

吉永 正夫, 泉田 直己, 岩本 眞理, 牛ノ濱 大也, 住友 直方, 田内 宣生, 堀米 仁志, 阿部 勝已, 長嶋 正實 (小児心電図基準値作成に関する研究グループ)

キーワード:学校心臓検診, 基準値, 心電図

【目的】小児心電図の正常値については1985年発行の「小児心電図の正常値」が最後の資料になっている。学校心臓検診で用いられる標準12誘導心電図の基準値を作成すること、および小児心電図の年齢・性の影響を検討することを目的とした。【方法】2006年~2009年にK市学校心臓検診を受診した小・中・高校生、計 56,753 名の標準12誘導心電図を収集した。調査票を用い心疾患既往者の心電図は除外した。全ての心電図を2名の小児循環器医がコンピュータ画面上で目視し、洞調律の心電図のみを抽出した。基線の揺れ、端子の誤装着、不整脈{P波異常(移動性ペースメーカ、結節性調律)、2度/3度房室ブロック、心室内伝導障害(完全房室ブロック、WPW症候群)、心房/心室期外収縮}は除外した。心拍数、電気軸、PQ時間、P波(波高/幅)、QRS波(Q/R/Sの各波高/幅およびR波/S波合算値)、ST部分、T波について平均値±標準偏差(又は中央値)、各パーセンタイル値を求めた。【成績】最終的に48,401名{小学1年16,773名(男/女=8350名/8423名), 中学1年18,126名(8943名/9183名), 高校1年13,502名(6477名/7025名) の心電図を用いた。各心電図所見は全て年齢/性差を認めたが、その影響は所見によって異なっていた。PQ間隔は年齢差を認めたが同一学年で殆ど性差は認めなかった。QRS波は同一学年では男子が女子より高値を示したが、3学年合わせると分布は混在していた。右側胸部誘導のSTJ部の高さは小・中・高の男子の値が全ての女子の値より高値であった。【結論】現在まで報告のない膨大な、また目視された学校心臓検診の標準12誘導心電図を基に小児心電図の基準値作成を行った。小児期の心電図に及ぼす年齢・性の影響は所見ごとに異なっており、基準値作成、心電図解釈上、考慮していくべき点と考えられた。