18:00 〜 19:00
[I-P14-02] 腋窩縦切開による心房中隔欠損症の手術例
キーワード:低侵襲手術, 心房中隔欠損症, 腋窩切開
(目的)近年低侵襲小切開心臓外科手術(MICS)が導入され、当院ではMICSを2010年8月から開始し、僧帽弁疾患や二次孔欠損型の心房中隔欠損症(ASD)などに適応してきた。その中で2016年12月までにASDは14例に施行した。必要最低限の物品で従来通りのやり慣れた方法に基づき、症例を重ねるたびに試行錯誤を繰り返してきた。切開部位は筋や乳腺組織の委縮の可能性がある為、美容上男性は大胸筋辺縁に沿った切開、女性は前腋窩切開や腋窩切開が好ましいと自験例から区別してきたが、全例腋窩縦切開で可能であるか検討した。(対象)疾患はASD:14例。年齢は平均32.9歳(12-72歳)、女性6例男性8例であった。術式は、ASD直接閉鎖:6例、自己心膜でパッチ閉鎖:8例、同時に三尖弁形成(人工弁輪):2例に施行した。全例全身麻酔片肺換気下、人工心肺は大腿動脈送血、大腿静脈と上大静脈(右心房)脱血とした。左下半側臥位(約30度)、第4肋間開胸で行った。切開部位については右前腋窩縦切開で行った。(結果)皮膚切開部は可動する為、切開部位に関わらず視野の確保は可能であった。切開創は平均7cmであった。創部痛は軽度で胸郭の変形も認めなかった。平均術中出血が133ml、体外循環時間は平均2時間、手術時間は平均4時間30分であった。術後出血は平均157mlで大半は無輸血で施術可能であった。術後の心臓超音波検査でも残存短絡は認めなかった。(考察)開胸部位から近い部分での皮膚切開を選択しがちであるが、切開部位から開胸部位までの移動が可能であり、全例右腋窩縦切開で可能であった。大腿動静脈からの体外循環回路の接続となるため、年齢は青年期以降に偏る傾向となった。対象は運動選手など、日常生活復帰を短期的に希望される症例が多かった。今後も切開部位や使用器具など症例を重ねて改良を続ける予定である。